パン屋で、ぷかぷかの畑班が作った大根を売っていました。
〈だいこん〉かと思ったら〈たいこん〉て書いてありました。
「ああ、これは〈たいこん〉でしたか」と心がゆるっとなりました。
〈たいこん〉という乾いた、甲高い響きがゆるゆると心をほぐしてくれました。
こんな楽しい言葉を書いてくれたぷかぷかさんがいとおしくて、抱きしめたくなりました。
「これ、間違ってるじゃん」というよりも、「ああ、〈たいこん〉ね」といった方が、みんなが笑顔になれます。
たまたまやってきたお客さんが
「このだいこんください」
といったので、
「あ、すみません、これは〈だいこん〉ではなく、〈たいこん〉です。これ見て下さい」
と〈たいこん〉の文字を見せたら
「ああ、そうでしたか、じゃ、この〈たいこん〉ください」
とみんな笑顔になったのでした。
相模原障害者殺傷事件をテーマにした集まりは、いつも堅い雰囲気で、気が滅入ります。ここから何が生まれるのだろうと思います。あの堅い雰囲気からは事件を超える柔らかな、心地よい社会が生まれるのだろうか、と思います。
アーダコーダの議論も大切です。でも、それ以上に大切なことは、事件を超える、障がいのある人もない人もお互いが気持ちよく生きられる社会を作り出すことです。
〈たいこん〉という言葉は、そんな気持ちのいい社会を作る鍵がどこにあるのかを教えてくれる気がするのです。