土曜日の朝日新聞「be」に建物、町、人を再生する建築家の話が載っていて、とても興味深く読みました。こんなことが書かれていました。
「僕らの役割は、埋もれている地域の日常の中から、その地域の人々が気づいていない価値を見つけ出し、見える形に編集し直すことです」
「たばこ屋のおばあちゃんが街の宝かもしれないのです。
宝物のない街などありません。どの地域も問題はそれらの宝が関係性を失っているということだけなんです。僕らはこうして発見した宝の一つ一つを「物語」として紡ぎ直します。人々がそれを自分ごととして咀嚼(そしゃく)できるように。」
8月3日(土)の上映会の感想に
「この町にぷかぷかのパン屋があることが、この町の価値を何倍にも上げています。」
というのがあって、そのことと、新聞の記事が妙に重なって見えたのです。
いつも書いていることですが、障がいのある人たちは、あれができないこれができない、社会の重荷、生産性がない、というふうに、マイナス評価が圧倒的に多いです。ぷかぷかは、そうじゃない、彼らは街を耕し、町を豊かにする「価値ある存在」なんだと、様々な実践をし、彼らの価値を目に見える形で発信してきました。
言い換えれば、社会が気づいていない価値を見つけ出し、誰にも見える形に編集し直した、ということなのだと思います。
結果、たくさんのファンができました。また
「この町にぷかぷかのパン屋があることが、この町の価値を何倍にも上げています。」
という感想が出てきたのも、その結果だろうと思います。
ぷかぷかさんのそばにいると心が和みます。それを私は、彼らのそばにいると「人として立つことができる」と表現します。「人になれる」といってもいいと思います。だから彼らは「街の宝」なんだと思います。
「どの地域も問題はそれらの宝が関係性を失っている」
と記事にありましたが、ぷかぷかは地域でたくさんの関係を作ってきました。その関係の中でたくさんの人たちがぷかぷかさんに出会いました。発見した宝を物語として紡ぎ直してきました。『ぷかぷかな物語』は、そういう作業の中で生まれました。
それを自分ごととして咀嚼し始めたのが、「ぷかぷかをつるみに」という動きになったのだろうと思います。
先日大阪大学の建築科で都市デザインをやっている先生が見学に来ました。都市をデザインするとき、福祉施設をその中に入れるべきだと考えている先生のようでした。
都市のデザインの段階で、宝を組み込み、今までにない物語を作っていこうとしているのだと思いました。
いずれにしても、町の再生、社会の再生、という視点で、ぷかぷかの活動を見ていくと、またいろんな新しいものが見つかるような気がして、記事を見ながらちょっとわくわくしました。