つるみに「ぷかぷか」を作っちゃおう、の浅川さん、先日の上映会で自分のやろうとしているものの形が見えてきたそうです。
演劇ワークショップの記録映画の中で、芝居作りがうまくいかなくで、進行役サイドで、あーでもないこーでもない、と話し合ってるところが、何か新しいものを生み出す予感がした、と書いていますが、その気づきがすばらしいですね。
宮澤賢治の『ほら熊学校を卒業した三人』の原作は、相手をかじって食べてしまう、という結構残酷な場面がいくつかあります。そこのところをぷかぷかさんたちがどんな風に受け止めるのか、すごく心配しました。「こんな話、もういやだ!」って、投げ出してしまうかもしれません。どうしようか、ずいぶん悩みました。そこを全く外すことも考えたのですが、そうするとなんか間の抜けた別のお話になってしまいます。
「いや、ぷかぷかさんがやれば、原作にある残酷な感じは、多分別の表現になるんじゃないですか」
とぷかぷかの若いスタッフがいいました。いろいろ揺れながらも、結局そこに賭けることにしました。原作のままぶっつけ、どういう表現になるかは、ぷかぷかさんに任すことにしたのです。
5年間、いっしょに芝居作りをやってきたぷかぷかさんたちへの信頼です。多分私たちとは全く違うイメージで表現してくれる。そういう信頼です。
「支援」などという上から目線の関係では絶対に出てこない、ぷかぷかさんたちへの信頼。この信頼があるから、彼らとの関係から新しいものが生まれます。
そうやって作ったのが本番の舞台です。あちこちで笑い声も上がり、本当にあれは『ほら熊学校を卒業した三人ーぷかぷか版』でした。ここにしかない、オリジナルな舞台です。
ぷかぷかさんと出会い、そこから生まれた、今までにない『ほら熊学校を卒業した三人』でした。「本当に新しいものは、人と人との出会いから生まれる」。宮原さんの言ったとおりのことが演劇ワークショップでは生まれてるのです。ぷかぷかさんの生み出すものを1,私たちが生み出すものを1とすると、1+1が5になるくらいの新しい価値を生み出しているのです。
ぷかぷかさんたちがいることで、社会が豊かになっているのです。そのことを演劇ワークショップの舞台はしっかり見せてくれます。
つるみの「ぷかぷか」でも、そういうものが生まれてくるといいなと思います。