NHKが「実名と匿名のはざまで」と題したとてもいい記事を書いていたので、あらためて相模原障害者殺傷事件ー匿名の問題について考えてみたいと思います。
名前は、その人を象徴するものであり、その人の人生を想起させるものです。ですから名前がないと、その人を思い浮かべることができません。匿名にする、というのは、ですから、その人の人生がなかったことにすることです。
その人が精一杯人生を生きたのに、その人生がなかったことにされる。こんな悲しいことはありません。自分がその立場になればどんな思いがするか、ちょっと想像するだけで、この問題はすぐにわかります。
障がいのある人の人生を堂々と誇りを持って語れない社会だからこそ、あの事件が起きたように思います。
事件の直後、事件を考える集まりで、津久井やまゆり園の家族会の会長は、匿名にした理由を話していましたが、その中で、家族に食堂をやっている人がいれば、名前が公表されることで、売り上げが落ちる、だから公表なんてとんでもない、といった話をしていました。関係者自身が、この社会を支えているように思いました。
「障がいがあることは恥ずかしいこと、だから隠す」といった考え方が、今も生きているのだと思いました。
1970年あたりから、障がい当事者が街の中へどんどん出ていきました。車いすの人たちがバスへ乗る、電車に乗る。彼らがバスに乗りやすいようにする、電車に乗りやすいようにする。そういったことをやり続けることで、バリアフリーの街が実現できました。
『そよ風のように街に出よう』と障がい当事者に呼びかける雑誌も発刊されました。この呼びかけで、たくさんの当事者が、本当にそよ風のように街へ出て、たくさんの人たちが彼らと出会い、街の人たちが変わっていきました。
ぷかぷかは
「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」「その方がトク!」
と言い続け、
「障がいのある人たちは、街を耕し、街を豊かにする」
ということを、ぷかぷかの運営を通して具体的に実践してきました。
ぷかぷかは、障がいのある人たちと一緒に働いているから、こんなにもおもしろいお店になっています。たくさんの物語を生み出したのも、彼らのおかげです。彼らがいなければ、なんのおもしろみもないただのパン屋であり、惣菜屋です。
障がいのある人たちと一緒に生きることでぷかぷかがどんな物語を生み出してきたか、どんな新しい価値を見つけ出したか、どんな新しい文化を生み出したか、『ぷかぷかな物語』に書いていますので、ぜひ読んでみてください。
「障がいがあることは恥ずかしいこと、だから隠す」なんて、もったいないです。
公益財団法人地球環境戦略研究機関が、株式会社太陽住建とともに作成した「太陽住建SDGsレポート2019」を、7月17日、ニューヨークにて開催中の国連ハイレベル政治フォーラムサイドイベントにて発表したのですが、その表紙にはぷかぷかさんの描いた絵が使われました。
障がいがあることは恥ずかしいどころか、こうやって堂々とニューヨークまで進出できる価値を持っているのです。
8月3日(土)の上映会は、「障がいのあることは隠すようなことではない」「彼らは社会を豊かにする存在」といったメッセージがいっぱい詰まった上映会です。 入場料はなんと無料! 見ないと絶対ソン!です。
入場料無料ですが、参加人数を把握するために入場券をpeatixでお求めください。