『道草』に出てくるリョースケさんの介護をやっている方は、もう18年のおつきあい、と映画のテロップにありました。
お父さんの岡部さん(早稲田大学で「障害学」の講義をやっている先生)の話によれば、リョースケさんが11歳の時からヘルパーをやっているそうで、自分の当番の時は自分の家に連れて行って遊んでたそうです。
介護する方にとって、リョースケさんは家に連れて行きたいくらい魅力ある人なんだと思います。
その後結婚し、子どもができてからも、時々家に連れて行っていたのだと思います。家族ぐるみのおつきあいですね。そういったことが映画の中の誕生会のアットホームな雰囲気を生み出したのだと思います。子どもたちがリョースケさんによく慣れている理由がわかりました。
重度障害のある人との特別な関係ではなく、暮らしの中でのふつうのおつきあい、という感じがすごくよかったと思います。地域の人(介護の方も地域の人です)のふだんの暮らしの中に、当たり前のようにリョースケさんがいる、というのが、すばらしくいいですね。
子どもたちにとって、リョースケさんは重度障害のある人ではなく、どこまでもリョースケさんというちょっとおもしろい、魅力あるお兄さんなんだと思います。
「リョースケさん、誕生日おめでとう!」
っていう子どもたちのはずんだ声からは、そんな関係が見えました。
子どもたちは将来、リョースケさんとどんなおつきあいをするんだろうって思います。ここにこそ希望があるような気がします。新しい歴史が、こういうところから始まります。