早稲田大学であった『道草』の上映会に行ってきました。映画を見るのは2回目でしたが、何度見ても、ほっこりあたたかな気持ちになるいい映画ですね。
重度の知的障害のある人たちの地域での一人暮らしを支えるのは、それなりに大変だと思います。でも、この映画は彼らの暮らしぶりを追いかけながら、どこかユーモラスで、見ていると心があたたまります。
そんな気持ちになれるのは、やっぱり映画に出てくる重い障害を持った人たちが自然に醸し出すあたたかで、楽しい空気感のせいだろうと思います。その空気感を映画はうまく伝えてくれます。
その空気感は、この社会の中で、彼らと一緒に生きていった方がいい理由を、リアルに伝えてくれます。
介護者の家でリョースケさんの誕生会をやるシーンがありました。とてもアットホームな雰囲気の中での誕生会。介護者の子どもたちが
「リョースケさん、誕生日おめでとう!」
っていうところが、すごくいいですね。
ああ、こういう関係ができてるんだ、って思いました。地域の子どもが、重い知的障害のリョースケさんに「誕生日おめでとう!」って言える関係があるって、なんかいいなと思います。
ひょっとしたら時々介護者の家にごはんを食べに行ったり、一緒に公園に遊びに行ったり、どこかへ一緒にお出かけしたりしてるのかなって思いました。そういうおつきあいの積み重ねがあって、子どもたちの弾んだ声が出てきたんだろうと思います。
子どもたちはリョースケさんとのおつきあいを楽しんでいましたね。子どもたちの弾んだ声に、それを感じました。
次回誕生会やるときはぜひ子どもたちの友達も呼んでほしいと思いました。公園で遊ぶときも。もちろん知り合いの大人たちにも声かけるといいですよね。
地域の人たちが集まる楽しい企画の中に、当たり前のようにリョースケさんがいる。集まったみんなが「リョースケさん、こんにちは!」「リョースケさん、元気?」って声をかけるような関係がそこに生まれます。そういった関係が少しずつ広がっていくこと、それが、重度障害の彼らが地域で暮らすことだと思います。
彼らとおつきあいする楽しさを、地域の人たちにも分けてあげる、ということです。そうやって地域は豊かになっていくんだと思います。介護する人たちだけで味わうのはもったいないです。
映画『道草』公式サイト