『ぷかぷかな物語』を訓練会のお母さんたちが回し読みしている、という話を聞きました。
おもしろいですね。訓練会は障がいのある人たちを社会に合わせるべく、いろいろ訓練をやっているグループです。社会に合わせることをしないぷかぷかとは、ベクトルの向きが正反対です。
どうしてそこのお母さんたちが回し読みをしているのかよくわからないのですが、ま、やっぱりいろいろ思うところがあったのじゃないかと思います。
以前、障がいのある子どもは社会に合わせなきゃいけないと訓練だのなんだのといろいろ追い込まれているお母さんたちがぷかぷかに見学に来たことがあります。
ツジさんのお母さんが、今まで息子を社会に合わせようと一生懸命やってきたけれど、ぷかぷかに来ると、そのままでいいよ、といわれ、実際そのままの姿でしっかり働き、ファンまで作っている姿を見ると、今まで息子といっしょにやってきたのはなんだったんだろう、「見当違いの努力」だったんじゃないか、と思いました、と話されたことがあります。その話をしたところ、お母さんたちが何人か涙をぽろぽろこぼし始め、ちょっとびっくりしたことがあります。
「今までやってきたのは見当違いの努力だったんじゃないか」の言葉が響いたようでした。お母さんたちが今やっている努力と重なったのだろうと思います。
「そうか、こんなことはしなくても社会でやっていけるんだ」という気づき。この気づきは、人が生きていく上で、とても大きな気づきではなかったかと思います。お母さんたちの大きな大きな開放感をぽろぽろこぼれた涙に感じました。
障がいのある人だって、自分の人生を自由に生きていい。社会に合わせるために苦労することなんかない。そんなことで自分の人生をすり減らすなんて、ばかばかしい。やめた方がいい。
彼らが自由なとき、私たちもまた自由になれます。だからお客さんにとってもぷかぷかは居心地がいいのです。
歌が生まれ、人は踊り出し、物語が生まれる…「広場」にぷかぷかはなっています。
それはどこまでも彼らが自由だから…
その物語を集めたのが『ぷかぷかな物語』
障がいのある人たちは社会に合わせなきゃいけないと、自分自身も追い込まれている親御さんたちにぜひ読んでほしいです。
人生がね、きっと変わりますよ。