下に添付したサイトはやまなみ工房(滋賀県にある福祉事業所)を紹介するサイトです。
やまなみ工房は独特のアートで有名ですが、昔は一つ1円にもならない内職仕事をしていたそうです。あるとき利用者さんの一人が拾った紙切れにうれしそうに落書きをした時、施設長の山下さんは、内職仕事では見せたことのないエネルギーと笑顔を見て、「彼らが笑って過ごせることをしよう」と決めたそうです。
特にアートをやろうと思ったわけではなく、それぞれがやりたいことをやり始めたら、なんとなくアートになったという感じです。スタッフが誰一人美術を学んだ人がいない、というところがおもしろいですね。そういうところにこそ、自由なアートがある気がします。
昔「子どもに絵を描かすのではなく、内職仕事をさせてほしい」と頼んだ親御さんがいたそうです。就労に結びつくことをやって、自立してほしいと思ったのでしょう。でも「その人らしくあることを尊重している」、つまり「その人がやりたいことを大事にしている」ということを根気よく説得したそうです。内職仕事はその人がやりたいことではない、と。
ぼんやりしててもいい、落書きしててもいい、粘土であそんでてもいい、とにかくその人がその人らしく一日を過ごすこと、それを大事にしている、と。
結果的に、そういった毎日が、今世界から注目されるほどのアートを生み出しました。
大事なことは「その人らしく一日を過ごすこと」。
ぷかぷかは仕事をやりながら「その人らしく一日を過ごすこと」を大事にしています。帰りの会で「いい一日でしたか?」と聞くと、毎日何人もの人が手を上げて発表します。仕事をしない、と前の作業所で居場所を失ったセノーさんも毎日手を上げて発表します。セノーさんらしく一日を過ごしているのだと思います。セノーさんという仕事をしているのです。
長田弘さんの「ふろふきの食べかた」という詩の一節にこんな言葉があります。
自分の手で、自分の
一日をつかむ。
新鮮な一日をつかむんだ。
スが入っていない一日だ。
手に持ってゆったりと重い
いい大根のような一日がいい。
「その人らしく一日を過ごすこと」、それがいい一日をつかむことだと思います。いい大根のような一日です。
いい大根のような一日を過ごすと、ほら、こんな笑顔