東洋英和の学生さんが二人、ぷかぷかのPR動画を撮りたいといってきました。東洋英和女学院大学国際社会学科EIWAプロジェクトの人たちで、3月半ばに十日市場で開催されるイベントに十日市場駅周辺と大学周辺の飲食店に焦点を当てたPR動画の公開と飲食店マップを配布するそうです。ターゲットは主として女子大生だそうで、テーマは「また行きたくなるような飲食店」です。
東洋英和の学生さんにはもっともっと来てほしいと思っていたので、すごくうれしい企画です。ただ、おいしいパンやお弁当だけのPR動画を作ってもらっても、ぷかぷかのほんとうのPRにはならないと思ったので、『Secret of Pukapuka』の映画を見てもらいました。
ぷかぷかでは障がいのある人たちが働いています。ただ働いているだけではありません。この「障がいのある人たちが働いている」ということ自体が、ぷかぷかの魅力になっているのです。
障がいのある人たちは、一般的には「怖い」とか、「仕事が遅い」とか、「理解ができない」とか、マイナス評価の方が圧倒的に多いのですが、ぷかぷかにあっては、彼らは街を耕し、社会を豊かにするような「プラスの価値」を生み出す存在になっています。それをこの映画は語っています。ぷかぷかのほっこりあたたかな魅力は彼らが作り出しているのです。
だから、おいしいパンやお弁当買うと、それと一緒にほっこりあたたかなお土産がもらえるよ、っていうPR動画を作ってほしいとお話ししました。そのお土産の部分を映像でどう表現するか、それが勝負所だと思う、といった話をしたら、自分たちもそういうものを作りたいと思っている、なんていってくれました。
映画の中で、ダウン症の赤ちゃんが生まれ、絶望の中にいて、家から出られなかったお母さんの話が出てきます。でも、子どもがだんだんかわいくなり、近所の人たちが子どもをかわいがってくれる中で、少しずつ元気を取り戻し、障がいのある子どもは生まれていいんだ、って思うようになる、ちょっと感動的なシーンです。
二人の学生さんはちょっとうるっときたようでした。映画が終わって、こんなことを言いました。
「自分たちもいつか結婚して、子どもが生まれるかもしれない。その子はひょっとしたら障がいがあるかもしれない。そのときどうするか、みたいなこと考えました。そんな思いも映画に入れられたら、と思います」
すごいな、と思いました。
あのお母さんの場面。結局はダウン症の赤ちゃん自身がお母さんを絶望から救ったのだと思います。赤ちゃんは少しずつお母さんを癒やしていきます。お母さんと一緒に外へでかければ、近所の人たちも癒やします。近所の人たちは赤ちゃんをかわいがってくれます。たくさん声をかけてくれます。赤ちゃんの周りにはたくさんの笑顔が生まれます。そんな中で絶望の中にいたお母さんは少しずつ快復していきます。
最初、お母さんの感じた絶望は、社会一般の障がいのある人たちへのイメージです。障がいのある子どもを産むと人生真っ暗、といったイメージ。障がいのある人とおつきあいがなければ、そういったマイナスがいっぱいのイメージを持ってしまいます。
学生さんが、自分のこの先の人生を思い、障がいのある子どもが生まれたらどうしよう、ってちょっと考えてしまったのも無理ないと思います。
でもね、取材を重ね、ぷかぷかさんたちとたくさん出会えば、そういった思いは少しずつ変わって来ると思います。絶望どころか、ひょっとしたら彼らといっしょの人生ってすごく楽しいのかも、って。そう思わせるものをぷかぷかさんたちはたくさん持っています。それはおつきあいすればすぐにわかります。
そしてそんな思いが映像の中に少しでも入って、それを見た女子大生の人たちが「そうか、そういうことなのね」って思って、ぷかぷかさんたちに会いに来てくれたりしたら、PR動画は大成功だと思います。
単なるぷかぷかの宣伝ではなく、もっと広い、そして人生の深いメッセージを届けることができます。