「障がいのある人と働く意味を考える」をテーマに、福岡でワークショップをやってきました。
中央官庁で障害者雇用数を水増しした、などという恥ずかしい事件が話題になっています。一番の問題は、障害者雇用率のみ押しつけられ、どうして障害者を雇用するのか、という理由が語られてないところにあります。今年度中に4000人新たに障害者を雇用する、とありましたが、ただただ障害者雇用率だけを達成すればいい、という意図が見え見えで、一番大事なところが抜け落ちています。どうして障害者を雇用するのか、という議論です。それは社会の中で、障がいのある人たちといっしょに生きる意味を考えることであり、そういう議論こそが社会を豊かにします。そこを避けてしまう社会は、何かすごくソンしてる気がします。
そんな中で「障がいのある人と働く意味を考える」という福岡からの提案は、障害者雇用の問題を現場目線で考えよう、という、今までにない提案でした。障害者雇用、というとどうしても雇用する側の発想になるのですが、それを一緒に働くことになる現場の人の感覚で考えてみよう、ということでした。それをワークショップという手法を使って考えよう、というわけです。
机に座っての議論と何がちがうのか。
簡単な芝居を作って、それを演ずるので、実際に当事者になって、そこから世界を見る、という体験ができます。
机に座っての議論は、あーだこーだと言葉のやりとりに終始することが多いのですが、ワークショップは実際にその場に立つ、その場を生きる、感じる、そしてそれを表現するということが大きいと思います。今までにない気づきがそこにはあります。
感想の中に「芝居の中で当事者になることで、より具体的に想像できました。」「障がいのある方といっしょの働く同僚を演じて、かける言葉に悩みました。」と言った言葉がありましたが、机に座っての議論では絶対に見つからない気づきです。
その気づきこそ、新しい価値観を生み出す可能性を持っているように思うのです。
業界のCSR情報誌で「障害者雇用」を特集したとき、編集している社長さんが、生産性の論理ではない、新しい価値観を生み出さないと、「障害者雇用」はうまくいかない、と書いていましたが、ワークショップの中での気づきは、その可能性を秘めていると思っています。
今回の企画は、
・障がいのある人たちと一緒に働く人の立場で考える。
・ワークショップの手法を使って、実際にその場に立ち、その場を生きる、感じる、考える、そして表現する。
という二つの新しい試みでした。
時間が短かったので、そういったことが十分にやりきれたとは思えないのですが、それでも参加した人たちにとっては、すごく新鮮な体験だったようです。まずは最初の一歩です。ここから新しい価値創造に向けて、動き出すのだと思います。