この一ヶ月くらいで 東洋英和女学院大学で授業を3コマもらって上映会とぷかぷかの話、双六ワークショップ、演劇ワークショップをやりました。そのときの学生さんたちの感想がすばらしかったので、その感想をみんなが共有できるような一本の詩にするワークショップを明日やります。みんなの感想が一本の詩にまとまれば、絵本の手がかりがつかめます。
まず一人一人がぷかぷかさんと出会う前と、出会ってからの自分の変化を4〜5行の詩にします。出会う前は障がいのある人たちをどんな風に見ていたのか、出会ってからはどうなのか、彼らを見る目が、自分の心がどんな風に変わったのか、これからどんな関係を作っていきたいか、などを短い詩で表現します。
たとえば
障がい者はいやだった
怖くて近寄れなかった
でも、ぷかぷかさんと知り合って
少し心がなごんだ
一緒に楽しいことやりたい
という感じで、ぷかぷかさんに出会う前と、出会ったあとの心境の変化を短いことばで表現します。この詩を一行ずつ切り離します。10人のグループであれば、10人分のばらばらになったことばが集まります。
ことばたちをシャッフルします。仮に一人5行書いたとすると、10人で50のことばがばらばらになって集まります。そのことばたちを似たような要素で分けていきます。
一本の詩にまとめることを考えたとき、なんとなく始めに来ることば、終わりの方に来ることば、なんとなく新しい物語が始まりそうなことば、物語の展開が見えるようなことば、ほっこりあたたかい気持ちになれることば、風景が見えるようなことば、わくわくするようなことば、人生にふれるようなことば、新しい未来を感じるようなことば、といった感じで、ことばたちを分けていきます。
みんなで話し合いながら分けていきます。一つのことばを巡って、それをどう解釈するか、お互いの思いを語り合います。お互いの違いが見えてきます。共有できる思いも見えてきます。このみんなで話し合う時間がとても大切です。今までただ一緒に授業を受けていただけの関係から、新しいものを一緒に作る関係になります。このワークショップの、一番のキモの部分です。
何よりも、そういう関係の中でできあがった詩は、個人で作った詩の何倍もの力を持ちます。そのことをできあがった段階で、みんなで感じることができます。このみんなの詩の力がみんなの背中を押します。
こういう力ある詩を生み出すのが、ワークショップのいう場のすばらしいところです。
要素ごとに集めたことばを模造紙に張り出します。張り出す順番も考えます。順番を考える中で、全体のストーリーが見えてきます。
壁に貼りだした詩を朗読します。まずは一人一行ずつ声を出して読みましょう。聞き手にことばを届けるつもりで声を出します。ことばに思いを込めます。ことばを声に出したとき、目で見るだけだったことばが、少し違う感じで体に入ってきます。それがことばにふれる、ということです。それをしっかり感じ取りましょう。
聞き手の側も、目で見るだけだったことばが、声になって届くと、どんな風に聞こえるか、耳を澄まして聞きましょう。
声に出して読む側も、その声を聞く側も、いつものことばが、人の肌を感じるような生きたことばとして行き交うことを経験できると思います。ことばは声に出すことで、生きたことばとして人と人を結びます。
朗読することで、詩は体温を持ち、むくむくと生き始めるのです。
今までばらばらだったみんなの感想が、ワークショップを通して、みんなが共有できる思いとしての詩が立ち上がることになります。
詩は、学生さんとぷかぷかさんの出会いの物語です。
この詩を体で表現すれば、そのまま芝居になります。でも、今回は時間がないので、朗読するところまでにします。
第2期演劇ワークショップでは「みんなの《生きる》」という詩を作ったのですが、そのときの記録です。