ぷかぷか日記

「私、ちょうどこれでいい」

NHKの「19のいのち」のサイトに最首悟さんの投稿が載っています。

www.nhk.or.jp

 文中に《実際に意思疎通できず食事も排泄も自分でできなくなった時に、実は心の内は平穏な状態でのんびりと過ごしていて、「私、ちょうどこれでいいな」と思っているかもしれない。》という箇所がありましたが、「私、ちょうどこれでいいな」は星子さんのことを思いながらの言葉なんだろうなと思いました。

 意思疎通ができず、食事も排泄も自分でできなくなっても、「私、ちょうどこれでいい」。そうか、そう思う人がいるかも知れないんだ。そう思うと、なんかちょっと気持ちが楽になります。

 NHKスペシャルの中で、星子さんが寝そべったまま、左足の指で、右足のふくらはぎをコキコキ掻くシーンがありました。かゆいというよりも、いつもそうやって遊んでいる感じでした。ですから足の指の動きが実に手慣れている感じでした。食事も排泄も自分でできない人とは思えないよほど、器用に足の指を動かしていました。

 寝そべった姿勢で、ああいう器用なことは私には絶対にできないと思いました。星子さんて、ああいう器用なことをしながら楽しんでいることがいっぱいあるんじゃないかと思いました。

 「私、ちょうどこれでいい」、寝そべったまま、足をコキコキ器用に動かしている星子さんの姿は、まさにその言葉を語っているようでした。

 そして事件で殺された重い障がいを持った人たちは、みんな様々な形で「私、ちょうどこれでいい」って思ってたんじゃないかと思いました。そうやって平和に、おだやかに、いろんな楽しみをもちながら暮らしていたんじゃないか、と。

 

 あらためて犯人の植松は重い障がいのある人と全くおつきあいしてなかったのだと思いました。重い障がいのある人たちと人として出会うことがなかったのだと思います。だから重い障がいを持っている人たちの生きている世界、たとえば星子さんのような人が足をコキコキやって楽しんでいるような世界が想像できなかったのではないか。

 これは彼一人の問題ではなく、やまゆり園という職場が、障がいのある人たちとそういうおつきあいしかやってなかったのだろうと思います。

 

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