ぷかぷかのアートを印刷業界に紹介したい、と神奈川県印刷工業組合の理事長の江森さん、常務理事・経営革新マーケティング委員長の荒井さんが見えました。
江森さん
荒井さん
神奈川県印刷工業組合のホームページにある平成30年度事業計画案の概要を見てちょっとびっくりしました。印刷業界は、ただ印刷の仕事をするのではなく、すべての人を幸せにする産業なのです、と書いてありました。
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東日本大震災は、東北地方沿岸に甚大な被害をもたらしましたが、 週が明けるや食料品メーカーや衣料品メーカーからは矢継ぎ早に支援の表明があり、被災者の命をつなぐための多くの物資が届けられました。 私たちもその支援の輪に加わりたいと心から思ったはずですが、私たちの作る印刷物は被災地ではガレキの一部でしかありませんでした。 自分たちの仕事の意義を見失いかけ、私たちはすっかり自信をなくしてしまったのではなかったでしょうか。
しかし、震災から1ヶ月が過ぎる頃から状況が変わり始めました。 被災地から届く支援物資の要請が、生きるために必要な衣食住に関わるものから、子供が勉強するためのノートや鉛筆、避難所でのストレスを癒すための書籍など、「文化」に関するものへとシフトが始まったのです。 私たちの仲間は、待ってましたとばかりに、業界に声をかけ、残紙を使って「おえかきちょう」を作り被災地に贈るプロジェクトを立ち上げたり、それぞれの場所で自分たちができることを見つけて活動を拡げ始め、多くの印刷会社の善意は東北東海岸に届けられました。 そのような活動を通じて、子供たちをはじめとするたくさんの人々の笑顔に出会ったとき、私たちは自分たちの仕事の本当の意義をはっきりと理解する 機会を得たのだと思います。人は衣食住が足りるだけでは生きていけないのです。 私たちの仕事はただちに生命に関わるようなものではありませんが、人が生きて行くうえで欠かせない「心の栄養」を人々に与え、すべての人を幸せにする産業なのです。
古くは百万塔陀羅尼経の時代から、近代にあってはグーテンベルグの時代から、私たち印刷産業は人々の文化的な活動や、ショッピングやグルメなどの消費行動による生活の質の向上を通じて、世界中の人たちの「幸せな人生」に貢献してきました。 そして同時に印刷産業で働く人たちにも、労働を通してたくさんの幸せを提供してきたのです。現代においてもその使命はまったく変わってはいません。
時代とともに科学技術は発達し、人々の生活様式はどんどん変化します。しかしどんなに時代が進もうとも、人間が人間である限り、私たちは「幸せ」になるために生き続けます。 そんなひとり一人の「幸せ」を紡ぐ産業として、印刷産業はその関わる人すべてが幸せになる産業を目指すべきなのではないでしょうか。
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私たちの仕事はただちに生命に関わるようなものではありませんが、人が生きて行くうえで欠かせない「心の栄養」を人々に与え、すべての人を幸せにする産業なのです。
どんなに時代が進もうとも、人間が人間である限り、私たちは「幸せ」になるために生き続けます。 そんなひとり一人の「幸せ」を紡ぐ産業として、印刷産業はその関わる人すべてが幸せになる産業を目指すべきなのではないでしょうか。
なんかすごい業界だなと思いました。会社というのは、ただもうけを追うのではなく、本来こういう、人を幸せにする、という大きな目的があったのだと思います。そういうことを思い出させてくれました。
そういったことの上で、ぷかぷかのアートを印刷業界で使いたい、といってきたのです。
ぷかぷかさんのアートは人の心をほっこりあたたかいもので満たしてくれます。ちょっと幸せな気持ちになります。
人を幸せにする、というところで、印刷業界が目指すものとぴったり合うのです。
ぷかぷかさんのアートを見る人も、それを提供した印刷屋さんも、そしてぷかぷかさん達も、みんなが幸せな気持ちになれるこれは企画です。
一つ一つ見ていくと、思わず心がキュンとなります。疲れた心を癒やしてくれます。ぷかぷかさんのアートが、印刷業界を通して社会に広がって行くと、社会はちょっとゆるやかに、豊かになる気がします。
障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ、という言葉のメッセージは、障がいのある人たちとおつきあいのない人にはなかなか伝わりにくい感じがします。でも、アート作品は、ちょっと見ただけで心がキュン!となって、受け入れてくれます。障がいのある人のことを全く知らなくても、「いいね」と受け入れてくれます。
障がいのある人たちとの、これはひとつの出会いだろうと思います。前向きの、とてもいい出会いです。自分の心を癒やしてくれた絵を描いた人はどんな人だろう、こんな絵を描く人は社会にいた方がいいね、というふうになっていくといいなと思います。
中には絵の作家さんに会いに来る人もいるかも知れません。ぷかぷかにやって来れば、絵を描くだけではなく、いろんな仕事をしているぷかぷかさん達に出会います。訪ねてきた人に中にある障害者のイメージが、ひょっとしたらひっくり返るかも知れません。
相模原障害者殺傷事件の犯人は「障害者はいない方がいい」と言いましたが、ぷかぷかさんのアートに出会った人は「こういう絵を描く人は社会にいた方がいいよね」ってきっと思います。犯人の言った「障害者は不幸しか生まない」という言葉も、ぷかぷかさんの絵に出会って、ほっこりあたたかな気持ちになった人は、あの言葉はおかしいよね、って思います。ぷかぷかさんのアートは事件の犯人の発したメッセージが間違っていることを言葉を使わずに教えてくれます。
今後は業界の人たちにぷかぷかさんの絵を紹介するシステムを具体的に作っていくそうです。絵がどんな風に広がっていくのか、すごく楽しみです。
思えば8年前、カフェを構えたときから壁にぷかぷかさん達の絵を飾り、いつかこの絵たちが社会に広がってくれたらいいな、と思っていました。そうやってぷかぷかのメッセージを広げたかったのです。こんな絵を描く人たちとは一緒に生きていった方がいいよ、って。
ただその頃は、その絵をどうやって社会に広げていったらいいのか、なかなか手がかりがつかめませんでした。藤が丘駅前のマザーズという大きな自然食品のお店の壁に飾る案が浮上したこともあります。実際に下見をし、絵を掛けてみたり、お店の人とも打ち合わせをやりました。でも結局いろんなことがあって実現できませんでした。
2年前、プロボノ活動をやっているサービスグラントに依頼することを思いつき、ぷかぷかさんのアートを企業の売り込む営業資料を1年かけて作ってもらいました。その資料のプレゼンの中で、太陽住建の人たちと知り合い、その太陽住建の方が、今回見えた協進印刷の社長江森さんを紹介してくれました。その後江森さんは神奈川県印刷工業組合の理事長になり、今回の企画が実現することになりました。
人のつながりのありがたさをしみじみ感じました。それとぷかぷかさんの絵を社会に広げたいとしつこく思い続けたことが大きかったと思います。
障がいのある人たちのアート展が、最近あちこちで開かれています。たくさんの人が障がいのある人たちのアートを知る機会を作る、という意味ではいい試みだとは思います。でも、そのことで社会が変わるわけではありません。障がいのある人の社会的生きにくさは、相変わらず変わらないのです。
やっぱり私たちから社会に直接出て行かないと社会は変わりません。企業にアートを売り込む営業資料は、その手がかりをつかむものでした。今回その営業資料がきっかけで、神奈川県印刷工業組合という大きな力ある団体が反応してくれました。150社くらい加盟しているそうです。
私たちが社会に直接出て行くこと、そのことによって、社会はいい方向に少しずつ変わっていくのだと思います。