ぷかぷか日記

ぷかぷかさん達がいる限り、そこから希望が生まれる。  

 昨日ブログで紹介した筑豊「虫の家」の事務局長高石さんの息子さんの話に、

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先日大分からぷかぷかに研修に見えた中川さんが、自分のFacebookにこんな言葉を書いていました。

 

もしうちの子が、担任の先生から、こんな風に見られていたら、と思うと胸が痛みました。

高石さんの記事を読んで、子どもではなくて、周りの感性の問題なんじゃないかと思います。

 

 高石さんの話を読んで、胸が痛む、という感性がやはり大事な気がします。そういった感性が、衆くん(高石さんのお子さん)を受け持った担任にはなかった、ということです。

 ただ、そこに書かれた言葉は担任の正直な気持ちなんだろうと思います。

 

 食事が始まって驚いた。箸が使えないのである。握りしめて使っても、食べ物が口に入らず、とうとう手づかみで食べ始めた。生活能力、言語能力共に、同学年に比べて低い。注意をしても、指示をしても全く通じない…

 

 

「驚いた」とありますから、多分担任になった人は、初めてこういう子どもを受け持ったのではないかと思います。ただこういう目線を持った教員は、その後の9年にわたる義務教育の中で、少なくない数いた、と高石さんは書いています。そして相模原障害者殺傷事件の犯人の障害者観と、どれほどの距離があるのだろう、と高石さんは書きます。そしてそういった障害者観が社会全体にあふれている、と。

 そこをどうやって変えていくのか。社会全体を見渡すと、ほんとうに気が重いです。気が重いですが、希望はあります。希望が持てたのは、ぷかぷかさん達のおかげです。

 

 私自身養護学校の教員になったとき、それまで障がいのある子どもとおつきあいした経験が全くなく、障害児教育の勉強もしていなかったので、やっぱり驚きました。当時の私の中にあった人間のイメージをはるかに超えることを子どもたちはやってくれて、もうどう対応していいかわからなくて、「ひゃ〜っ!どうしよう、どうしよう!」と、本当に子ども達を前におろおろする毎日でした。

 衆くんの担任のように「生活能力、言語能力共に、同学年に比べて低い」などと冷静に分析するのではなく、ただただ「ひゃ〜っ!どうしよう、どうしよう!」とおろおろしていたことが、結果的にはよかったと思っています。

 なぜか。

 おろおろしたが故に、彼らと「人として出会えた」のです。

 おろおろしながらも、彼らと過ごす毎日が、すばらしく楽しかったのです。教員になる以前のふつうの会社勤めの日々よりもはるかに輝いていましたね。重い障がいを持つ子ども達と過ごす日々が、ふつうの人たちと過ごす日々よりも、私にとっては輝いていたのです。

 できないことや、いろんな問題行動があっても、そばにいると、妙に心が安らぎ、心があたたかいもので満たされたのです。もう、本当に、抱きしめてやりたいくらいの気持ちでした。

 彼らのそばにいるだけで幸せな気持ちになりました。人に対してそんな気持ちになったのは初めての経験でした。この人たちとずっと一緒に生きていきたいな、って思うようになったのは、一番最初に受け持った、一人でごはんも食べられない、うんこの始末もできない、言葉もしゃべれない、障がいの重い人たちのおかげです。彼らとの強烈な出会いがあったからこそ、今のぷかぷかがあるのです。

 「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」「その方がトク!」というメッセージは、障がいの重い彼らが教えてくれたのです。そしてそのメッセージが、今、社会を少しずつ変えてきているのです。

 

 中川さんの指摘する「周りの感性の問題」についてもう一つ。

 セノーさんは、あまり働かないので、前にいた作業所で自分の居場所を失いました。お父さんはいたたまれない気持ちで、保護者会でなんとかして欲しい、あまり働かない息子もいさせて欲しい、と頼んだそうです。でもだれも助けてくれなかったそうです。同じように障がいを持った子どもの親が、こういった問題に対して、何の痛みも感じない、ということが私には信じられないのですが、中川さんの指摘する「周りの感性の問題」だろうと思います。「あまり働かない息子も、ここにいさせて欲しい」というお父さんの必死の思いに、何の痛みも感じない感性です。

 そんなセノーさんですが、今ぷかぷかにあって、たくさんのファンがついています。よく働くようになったわけではありません。相変わらず寝てるときの方が多いくらいです。でも、寝てるときもファンがついているのです。寝ながらファンを作り、お客さんを作り、ぷかぷかの売り上げに貢献しているのです。寝ながらしっかり働いているのです。

 見学に来た方が「きゃ〜、セノーさんがいる!」って、アイドルを見つけたように感じで駆け寄ったりすることもあります。

 働かない、ということで排除してしまう作業所と何がちがうのでしょう。

 

 だから、社会を変えていくことに、希望はあるのです。ぷかぷかさん達がいる限り、そこから希望が生まれるのです。  

 7月21日(土)筑豊の「虫の家」では高石さんとそんな希望のある話ができたら、と思っています。ぜひおいで下さい。

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7月21日(土)の案内は下記サイトのダウンロードボタンを押して下さい。

pukapuka-pan.xsrv.jp

 

 

 

 

 

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