精神障がいを持っている方たちの支援をやっている人たちの研修会でぷかぷかの映画の上映とお話をさせていただきました。
「管理」のことが話題になりました。本当は利用者さんを管理なんかしたくないんだけれど、いろいろ考えるとやっぱり管理する方向に行ってしまうという意見がありました。
もっともな意見だと思います。問題は障がいのある人たちとどういう関係で事業を展開していくのか、ということだろうと思います。ぷかぷかでは、ぷかぷかさんとスタッフの関係はどこまでもいっしょに生きていく関係であり、フラットな関係です。ですから彼らを「管理」するという発想がありません。
お店で「接客マニュアル」に従うという「管理」は、ぷかぷかさんがやってみたら気色悪かったのでやめました。彼らといっしょに生きていきたいと思っていた私にとって、無理にマニュアルに合わせようとする彼らの姿は、ただただ気色悪かったのです。マニュアルによって「管理」することはその人らしさを失うことでした。そのことに「気色悪い!」という感覚で気がついたのです。
ぷかぷかの自由な雰囲気は、この「気色悪い!」という感覚から始まった、といってもいいくらいです。で、マニュアルに寄らず、ぷかぷかさんのありのままでやっていこう、とその時決めたのです。それが今のぷかぷかの雰囲気を作っている大きな要因です。
彼らといっしょに生きていく関係、フラットな関係からはいろいろ新しいことが生まれます。
ほかの福祉事業所がやっているパン屋やカフェに行ったお客さんが
「ぷかぷかに来るとホッとする」
といいます。同じような障がいのある人が働いているお店ですが、お客さんの印象はこんなにもちがいます。ここが管理する関係から生まれる場と、フラットな関係から生まれる場の違いだと思います。
「ぷかぷかに来るとホッとする」
ところから、たくさんのぷかぷかのファンが生まれました。なんとなく近寄りたくないと思われている障がいのある人たちにファンができるなんて、今の社会状況を考えるとほとんど奇跡に近いように思います。これも彼らとのフラットな関係が生みだしたものです。
彼らとのフラットな関係はこんなふうに社会を豊かにしていきます。
1+1=5になるくらいの新しい価値を生み出しているのです。
彼らを管理する関係からは1+1=1でしかありません。管理すればいろいろな間違いは起こりにくくなります。でも、そこからは新しいものも生まれません。あんなにもステキな魅力を持っている彼らといっしょにいながら1+1=1でしかないのは、なんだかもったいない気がします。
私は彼らといっしょに生きていった方がトク!だと思っています。それは1+1=5になるくらいの価値を生み出すからです。
一回きりの人生です。彼らといっしょにどういう人生を送るか、ということだと思います。