演劇ワークショップの場は人間を自由にします。竹内演劇研究所や黒色テントのワークショップを経験する中で、そのことが見えてきました。日常よりもはるかに自由になれる場です。
ちょうど養護学校に勤めて2年目くらいで、だんだん子ども達の面白さがわかってきた頃でした。この人たちとワークショップやれば、もっとおもしろい出会いがあるのではないか、と思ったのです。ふだんのおつきあいでもおもしろいのに、ワークショップの場でお互いがもっと自由になれば、ふだんよりももっとおもしろい、ふだんとちがう何かとんでもないものが見つかるのではないか、と思ったのです。
黒テントを説得するのに1年近くかかりましたが、障がいのある子ども達といっしょにやるワークショップは、予想をはるかに超えた面白いものでした。その面白さは、先日も書きましたが、彼らを支援するようなつもりで集まった地域の人たちの意識をひっくり返すくらいのチカラを持っていました。彼らのために来たつもりが、彼らがいるから自分たちが来る、つまり、彼らに自分たちが支えられていた、ことに気がついたのです。
これは彼らとの関係の逆転といっていいくらいの大発見だったと思います。「支えている」つもりが、実は「支えられていた」という発見。
彼らとのフェアな関係は、ここからはじまったように思います。最初から彼らとはフェアな関係で行こう、といったのではなく、どちらかといえば上から目線だった関係を彼らがひっくり返したのです。
明日港北公会堂で上映する第3期演劇ワークショップ記録映画は、そういった関係がよく見えます。そしてそういった関係から何が生まれるのかも。
明日上映する映画の予告編です。