九州の片田舎の話です。
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10年ほど前、主人の実家をグループホームにしました。
福祉グループに知り合いがいて相談して話を進めました。
目の前に工場、田んぼに囲まれた場所。
築50年以上の家が三軒並んだ一番奥が実家。
グループホームへ改築の時、地域の町内会長さんやお隣さんにもご挨拶に行きました。
反対されたらどうしよう、と少なからず心配はありましたが、そうですか、とすんなり。
もちろん、まわりの人たちとの日頃のお付き合いの賜物と思います。
お隣さんは奥さんを亡くされておじいさんがひとりで住んでいます。
訪ねた折には、若い人たちが出入りして 賑やかですよ、と笑顔です。
今は障がいのある女性の方5人が暮らしておられるそうです。
毎年、町内の草刈り作業や運動会などの行事にもスタッフさんと一緒に参加されています。
私もグループホーム横の畑に行けば作業中にお茶を差し入れていただいたり、交流も。
後に、その実家の近くに放課後等デイサービスを立ち上げた時に感じたのは、今は亡き父母がしっかり地域に信頼の輪を広げてくれていたという事実です。N(父母)さんには良くしてもらったから、と。施設建設を地域の方が温かく迎え入れてくれた裏には父と母の思いがあったからなんじゃないかな、と思います。父母には難病の息子(主人の弟享年17歳)がいました。母は晩年、外に出られない子の為の居場所を作りたかったと話していました。
私達夫婦がグループホームやデイを立ち上げたのも、その母の思いを受け継いだからです。
父母の人に尽くす生き方が、地域の方々の意識を知らず知らずのうちにぷかぷかにしていたんじゃないかな〜なんて、私は思っています。父母が蒔いてくれていたぷかぷかの種に助けられて、グループホームもデイも進んでいけてると感謝しているんですよ。
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あちこちでグループホーム建設の反対運動が起こっていると聞きます。相模原障害者殺傷事件以降もちっとも変わっていない社会に、いささか落胆しながらも、友人からのメールは、この社会もまだまだ捨てたものじゃない、とあたたかな希望を持たせてくれました。