ぷかぷか日記

津久井やまゆり園のホームページが再開されました。

 事件以来閉鎖されていた津久井やまゆり園のホームページが、7月26日再開されました。

 この1年間、何のメッセージも出さなかったので、当然事件についていろいろ書いてあるのだろうと思っていました。ところが…

 

ごあいさつ
 昨年7月26日、津久井やまゆり園で起きました事件から一年になります。今まで多くの皆様にご迷惑やご心配をおかけしてきたところでございます。この一年の間、様々なところでご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。
 今年度に入り、仮移転先であります「津久井やまゆり園芹が谷園舎」での生活がスタートいたしました。去る7月22日には、芹が谷園舎の体育館で家族会・後援会のお力もいただき「追悼のつどい」をしめやかに行なったところでございます。
 まだまだ利用者の皆様・ご家族の皆様、そして職員、それぞれ不安な気持ちが拭えない日々ではありますが、津久井やまゆり園本来の動きを取り戻すべく、この時期にホームページの再開に踏み切ることにいたしました。
 今後の津久井やまゆり園再生への道のりは、長く険しいものと覚悟しております。今後とも皆々様からのご教示をよろしくお願いいたします。

平成29年7月26日   社会福祉法人かながわ共同会津久井やまゆり園園長  

 

 

 事件はまるで他人事、といった感じです。

 事件の犯人は元ここの職員ですよ。どんな組織でも、その組織の人間が不祥事を起こせば、たとえ過去の人間であっても、まずは謝罪します。その謝罪のことばがひとこともありません。あれだけの事件を起こしながら、謝罪のことばがひとこともない。この組織は一体どういう感覚なのかと思いました。

 福祉施設を四つも運営する社会福祉法人です。社会的信用の高い社会福祉法人が、一体何を考えているのかと思います。

 

これがホームページです。

http://www.kyoudoukai.jp/2017/07/0725_1.html

 

  ホームページの中の「今後の取り組み方向」のページにも、事件についてはひとこともありません。ふつうならこんな大事件を受けて、今後法人はどうするのか、という書き方になると思います。法人にとって、事件はなかったも同然なのでしょうか?

 

 別のページにはこんなことばもあります。

 《 地域福祉力を高めるために地域に向けての研修や情報発信にも力を入れています。》

 事件に関する情報発信、メッセージの発信は一切なかったのに「情報発信にも力を入れています」って、一体どういうことでしょう。意味がわかりません。社会福祉法人がこんなデタラメなことやってていいのかと思います。監督庁の神奈川県は何をやっているのでしょうか?

 

 やまゆり園は事件の現場になったからこそ、現場からの情報発信はとても大事だったはずです。現場は事件をどう受け止め、今後どうしようとしているのか、といった情報発信です。もちろん当事者として安易に語れない難しさはあったと思います。それでも、その難しさに向き合うことこそが、事件はなんだったのか、今後どうすればいいのか、を掘り下げていく出発点だと思います。

 

  7月25日のNHKクローズアップ現代では、事件の犯人が「障がい者は不幸を生む元だ」と確信したのはやまゆり園で勤務していたときです、と手紙に書いているのを紹介していました。

 もし本当にそうだとしたら、現場には大変な責任があります。犯人が確信を持った現場の雰囲気というのはどうして生まれたのか、その雰囲気を改善するにはどうしたらいいのか、といったことは現場の人でないと語れません。現場の人が黙ったままでは、結局困るのは、その現場にいる障がいのある人たちです。

 犯人のいうことが間違っていれば、それは間違っている、と現場のことばで言えばいいのです。どうしてまちがえたのかを考え、現場の人のことばでそれを語る。それがとても大事な気がします。

 

 

 犠牲になった人たちがすべて「匿名」になったことを受けて、NHKが「19のいのち」というサイトを作っています。19人、一人ひとりのエピソードが書かれています。「箝口令」が敷かれる中での取材は大変だったと思います。それでも19人の人となりが少しずつ見えてきます。ああ、こういう人生を生きてたんだ、と。

www.nhk.or.jp

 

 中に一人、エピソードが一行だけ、という方がいて、私はそれを見るたびに悲しくなります。

 

「 短期で施設を利用していたころから、かわいらしい笑顔で人気者でした。」 

 

 その人の人生を語ることばが、たった一行しかないのです。たった一行でも、その人の人生を掘り起こしたことはすばらしいことだったとは思います。それでも、たった一行なる故に、私は悲しいです。こんな語られ方の人生があっていいのかと。殺されて尚も、たったの一行で語られる人生。

 19才の女性です。19年生きてきた、その女性だけの豊かな物語があったはずなのです。それを思うと本当に悔しいです。

 

 そこで津久井やまゆり園の人たちに提案です。犠牲になった19人の人生を語って欲しいのです。このサイトに書き込んで欲しいのです。現場の人で、彼らとおつきあいした人ならいくらで書けるはずです。彼ら一人ひとりが、すばらしい人生を生きていたことを書いて欲しいのです。

 彼ら一人ひとりのすばらしい人生が見えてくれば、「障がい者はいない方がいい」などと勝手な論理で彼らを殺してしまったことが、いかに間違ったことだったかがわかります。

 

 今からでも遅くはありません。ぜひやってみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

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