映画を見た人のすばらしい感想が届きました。
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今まで何度か書いた「フリチン少年」の話を書きます。
養護学校の子ども達と出会って、いちばんよかったのは私自身が自由になれたことです。人間はこういうときはこうしなきゃいかんとか、こういうときはこんなことしちゃいけないとか、いろんな規範があって、それに縛られています。でも、彼らとおつきあいしているうちに、そういった規範が少しずつ取れてきました。
お漏らしをしょっちゅうする子がいて、10分おきくらいにパンツをぱぁっと脱いでいました。私は
「みっともないからパンツくらいはけ」
ってパンツをはかすのですが、10分ほどしたらまたぱぁっと脱ぐのです。
パンツをはかす、彼は脱ぐ、またはかす、彼は脱ぐ、といったことを一日何回も繰り返すわけです。で、天気のいい日は中庭に出てパンツ脱いだまま大の字になって気持ちよさそうにおひさまを仰いでいるのです。そのそばで私は陰気な顔して
「パンツはけよ」
と言い続けている。おひさまのさんさんと照る中、彼は気持ちよさそうにいい顔をしている、そのそばで私は陰気な顔をしてぶつぶつ文句ばかり言っている。
そういうことを毎日繰り返していると、私は一体何をやってるんだ、ひょっとして彼の方がいい人生を送っているんじゃないかって思い始めたのです。彼の方が明らかにいい時間を過ごしているわけですから。私はなんてつまらない時間を過ごしてるんだと。そして結果的には、パンツをはかない子がいてもいいかって気持ちになってきたのです。
そうすると彼との関係が楽になってきたのです。彼が大の字になって寝てる、それをおだやかな目で見られる。
「ま、いいか」
って。
「この時間、彼のいい時間だし、大事にしよう、オレも横になるからね」
って思えるようになった。そんなふうに自分の中にあったつまらない規範が少しずつ取れていった。そうすると私自身、生きることがすごく楽になってきたのです。
養護学校に勤めて、そこで障がいのある子ども達に出会って、何がいちばんよかったかというと、この、自分自身が自由になった、そしてそのおかげで生きることが楽になった、ということです。
この「フリチン少年」に教わった自由な感覚が、ぷかぷかをスタートするにあたって、とても大事な判断をしたのです。ああもうこの気色悪い接客マニュアルはやめようって。
感想の最後にあった言葉、
他人に迷惑をかけないように、他人に後ろ指をさされないように、失
とてもいい言葉だと思います。「お互いさま」と迷惑をかけあえる世の中を、みんなで目指したいですね。