第3期第5回目のワークショップ。『セロ弾きのゴーシュ』は金星音楽団が演奏会に向けて練習をするところから物語が始まります。で、ワークショップの中で練習風景をやってみたのですが、みんな適当に手を動かしているだけなので、どんな楽器を弾いているのかさっぱりわかりません。リアリティがないのです。それで段ボールで楽器を作り、それを持ってやってみることにしました。
楽器の製作はぷかぷかのアート屋わんどに依頼しました。チェロ以外は平面の楽器です。たとえ平面であっても、それを手に持つことで、リアリティが出てきます。ヨッシーの持ってる楽器は平面ですが、いかにも吹いている感じがします。プロのチェロ奏者の江原さんから見ても、すごいリアリティを感じたそうです。リアリティを感じたところから、この合成写真ができました。製作は江原さんです。
チェロは存在感があって、すばらしいできあがりでした。デザインはぷかぷかのショーへーさんです。わんどのスタッフもデザインしたのですが、ショーへーさんの方がはるかにおもしろいものができました。この『おもしろい』という感覚は、世界をなめらかに動かしていく上でとても大事なものだと思います。「あ、おもしろい!」と、新しい価値を発見していく感覚が私たちに求められている気がします。
段ボール製の楽器のおかげで、一気に楽団らしくなりました。こういうことを繰り返していく中で、だんだんみんな芝居のおもしろさがわかってきたようです。
この場面からこんな合成写真も生まれました。江原さん製作。この写真に江原さんの曲を重ねて、おもしろい動画を吉田さんが作ります。
楽長にしかられたゴーシュは壁の方へ向いて口を曲げてぼろぼろと涙をこぼします。気を取り直してたった一人今やったところをはじめから静かにもう一度弾き始めます。ここで日本フィルのチェロ奏者江原さんの演奏が入ります。すばらしい演奏でした。(音が小さいのでボリュームを上げて聞いて下さい)
各シーンの配役を決めて、場面を作りました。
途中寝っ転がる人がいても平気なぷかぷかです。
モリー王子たちはネコのシーンなのですが、ネコよりもトラがいいと言い張り、トラが出てくることになりました。で、トラが何をやったかというと「アルゴリズム体操」をゴーシュにリクエストします。お互い動きを合わせるのが大変だったようです。今日初参加のモーリー王子が張り切っていました。
ネズミのお母さんが病気の子どもを連れてゴーシュのところへやってくるシーンでは「夜風とどろき」の歌を歌います。歌詞はむつかしいのですが、メロディがすばらしいです。林光さん作曲です。
こんにゃく座のオペラ『セロ弾きのゴーシュ』ではゴーシュが朗々と歌います。その歌いっぷりが大好きで、今回ゴーシュの中でどんな歌を歌うかの選定の時、ピアニストのあみちゃんにぜひこの歌を、とお願いしたのでした。簡単な歌ではないので、安見ちゃんは渋っていましたが、絶対歌いたい!と押し通したのでした。
イントロのところを江原さんが弾きました。
この日初参加のモーリー王子のお父さんモーリー大王も、初めてにもかかわらず、ファッションモデルさんと一緒に楽しそうに踊っていました(一番奥の黄色いモデルさんです)。ふだんはまじめなサラリーマンのおじさんが、こうやって自由になれる場がワークショップです。こんなことは日常生活ではあり得ないですね。1月29日にはモーリー大王もモーリー王子といっしょに舞台に立ちます。大きなホールの舞台、しかも舞台費用40万円もかけたプロ仕様の舞台です。大王も王子も多分なにか新しいものを見つけるのではないかと期待しています。
ファッションモデルのお姉さんたちの動きがいまいちなので、デフパペットシアターひとみの役者さんたちにかっこいい振り付けを考えてもらう予定です。
ネズミのシーンの最後は大盛り上がり。青いズボンのイクミさんの即興のダンスがいいですね。この自由さは何なんでしょう。
ワークショップはこのあと1月21日と28日の2回だけ。あと2回でうまくまとまるのかどうか、いつものことながら、はらはら心配しつつ、ワークショップという場のエネルギーに期待しています。1月29日(日)の午後、発表です。
今回日本フィルの江原さんが「ぷかぷかさん」たちに惚れ込んで、毎回参加してくれるようになりました。これはとてもラッキーでした。ワークショップの場に本物のチェロの演奏が毎回流れ、とても豊かな空間になっているように思います。