セノーさんと腕を組んで、下の写真のような感じで歩いていると
「これって、セノーさんがタカサキを介助してるんじゃないの」
「タカサキは精神的に要介護じゃないの」
という声がしきりで、全くその通りです。
毎日セノーさんにこうやって介護される日々こそ、幸せいっぱいの気持ちになれます。
先日階段で転んだとき、真っ先に
「タカサキさん、大丈夫?」
と声をかけてくれたのはセノーさんでした。ですから、セノーさんは、ああ見えて、結構私のこと心配してくれてるのです。
毎日腕をセノーさんが巻き付けてくるのも、なんだかんだとどうでもいいことをいいながら、タカサキのことを密かに心配しているのかも知れません。
毎日の目の検査も、セノーさんが養護学校高等部2年の時からやっているので、もう9年にもなります。あの頃もすごく太っていて、ある日隣り合わせで給食食べながらふと思い立って目をのぞき込み「セノーさん、目が赤いよ、これ糖尿病だよ、マックに行き過ぎだよ。もう末期的症状だから、体のあちこちが腐って、そのうち朝、おしっこしたはずみに大事なところがぼろっと落ちるんだよ」といったのが始まりで、あれから9年。いまだに毎日「あ、目、白いよ、どうしてですか?」「マック行ってないからですよ。え?セノーさんは今日も目が赤いけど、マック行ってるの?」「いってますよ、昨日はテキサスバーガーでした」「え〜!この赤さは、もう、末期的症状だよ、ヤバいよ、朝、ぼろっと落ちなかった」「今日は落ちませんでした」「明日あたりヤバいかも」という会話が盛り上がります。糖尿病の「末期的症状」が9年も続いていることになります。最近はセノーさんの方から「朝、ぼろっと落ちるとスカートはいて東洋英和ですね」なんてうれしそうにいったりするので、年季が入っているというか、この道の達人の域です。
こんなに楽しい朝のひとときを過ごすことができるのもセノーさんのおかげです。これがないと一日が始まらないくらいです。ほんとうに精神的に要介護なのです。
「障がい者と共に生きよう」なんて生っちょろい世界を、すでに突き抜けている感じです。