朝日新聞の記者が取材に来ました。前田さんという方で、以前、(記者有論)というコラム欄に相模原障害者殺傷事件のことを書いた方です。
《掲載の翌日、葬儀に参列した。棺の中でほほえむ小さな顔を見て思った。「この人だけにしかない人生がある。それが理不尽に奪われていいはずがない」》
というところが印象に残って、感想を書き送ったことでつながりができました。今日は22日のぷかぷか秋のマルシェの「レクイエム」の演奏のことを紹介したいので、と取材に見えました。
事件当日、朝4時半に電話で起こされ、現場に急行し,何日かほとんど寝ないで取材し続けたそうです。上のコラムはそのまとめのような記事です。
棺の中で小さくほほえむ顔や、生前のたくさんの写真を見て、この人にもすばらしい人生があったんだって、そのときあらためて思いました、とおっしゃってました。
障がいのある人たちのおかれているいびつな社会的状況が一挙に吹き出した事件でした。取材した前田さんにとっては、障がいのある人たちとの、ほんとうに強烈な出会いだったのだろうと思います。でも、この強烈な出会いを何度も何度も反芻し、今は時々うめいたりするようなこともあるかも知れませんが、若い前田さんにとってはこの先、今回の出会いは人生の大切な財産になるような気がしています。
似顔絵の名刺を作ることになり、画伯に絵を描いてもらいました。
似顔絵の名刺ができたら、取材先でぜひ使って欲しいと思っています。事件の遺族の方も、こんな名刺受け取ったら、ほんのちょっと、心がなごむかも知れません。
と、書きながらふと思うことがあって今、前田さんに電話しました。22日にもし取材に来れたら、「レクイエム」の演奏を録音して、遺族の方に届けて欲しい、という依頼です。事件から三ヶ月たって、ほとんど話題に上らなくなっているのですが、こうして「レクイエム」をみんなで聞いて、犠牲になった方のこと思っています、というメッセージを届けて欲しいと思ったのです。