オペラシアターこんにゃく座のオペラ『おぐりとてるて』を見てきました。
時は中世、「いつになったら戦は終わるのか、いつになったら暮らしは楽になるのか」という日々の中で、人々は時々やってくる説経節の物語に胸ときめかせ、日々の苦しみをいっとき忘れたと言います。
私自身、今日は『おぐりとてるて』の物語に胸をときめかせ、ほんとうにいい時間を過ごすことができました。オペラはひとときの夢の世界。どんなに辛いことがあっても、この夢の世界に浸ると、人生も捨てたもんじゃないよな、楽しいこともあるよな、と、また明日に向かって生きることができます。
特に今日見た『おぐりとてるて』は2年前に見たときよりもいっそう心にしみました。
餓鬼阿弥となった小栗を人々は引いていきます。
♪えいさらーえい、えいさらーえい…♪ という歌の力強さ。
聞きながらなぜか涙がこぼれました。
目も見えず、口もきけず、耳も聞こえない餓鬼阿弥となった小栗を遠い熊野までどうして人々は引いていくのか。その問いと歌の力強さが重なって、そうか、人は昔からこうやって何もできない人を支え、支えることで人はこの歌にあるような力をもらったのかも、と思いました。
帰りがけ、みどりアートパークの館長とばったり会ったのですが
「やっぱりね、何もできない人をみんなで支えて、みんなは元気をもらうんだよ。ぷかぷかとおんなじだよ」とおっしゃっていました。
ぷかぷかとおんなじだよ、というところがうれしかったですね。