九州にある「宅老所よりあい」のお年寄りたちとスタッフのゆるゆるの日々を抱腹絶倒の文章で語る『へろへろ』という本に、建設費用が億を超える新事業に敢然と立ち向かう様子を語ったところにこんな力強い言葉がありました。
根拠なんか別にない。
ただ、やれると思う気持ちがあるだけだ。
新しいことはいつだって、無謀で無計画で、前例がなくて保証がないところからしか、生まれてこないのだ。
なんかね、電流がびりびりっと流れた感じがしました。ぷかぷかを始めるときとおんなじだと思いました。
この「勢い」がいい!
ぷかぷかもこの「勢い」でやった気がします。新しいことを始めるときに必要なのは、緻密な計画とか、前例があるとかではなく、まさしくこの「勢い」だと思います。根拠なんかない「勢い」。
ぷかぷかを始める前、福祉ベンチャーパートナーズの「福祉起業家塾」を受講したことがあります。いちばん納得できたのは「福祉起業家とは何か」という項目でした。
福祉起業家とは、やりたいからやるもの。一つの自己実現であり、それは「福祉」とは全く発想が違う、と説明がありました。「やってあげる」とか「お世話する」とか、まして「指導する」といったことでありません。
- 一緒にやる、一緒に働くということ。
- そのことが好きで好きでしょうがないこと。
- ボランティア活動ではなく、経済活動であること。
- そこで働く障がいのある人たちはもちろん、自分自身も幸せになるということ。
どれもこれも納得できるというか、私のそのときの気持ちをずばっと言い当てている気がしました。
このときの「納得」が、更に「勢い」をつけた気がします。
「やれると思う気持ち」がますますふくれあがり、ひたすら突っ走った気がします。
傍から見れば「無謀」でしかなかったと思います。尊敬する福祉業界の先輩からは「60歳からこんな事業を始めるなんて、リスクが大きすぎるのでやめた方がいい」とはっきりいわれました。
でも、「やれると思う熱い気持ち」を前に、冷静な忠告はほとんど意味を持ちませんでした。結果的には、尊敬する先輩の経験に基づく冷静な忠告に従っていたら、ぷかぷかはできなかったのです。そのことは何を意味するかを私たちはやっぱり考えた方がいいと思います。
「何かをやる、本気でやる」時の人間の持つ熱いエネルギーは、それがどんなに無茶で無謀であっても、それこそが新しいものを生み出すのだとあらためて思います。
根拠なんか別にない。
ただ、やれると思う気持ちがあるだけだ。
新しいことはいつだって、無謀で無計画で、前例がなくて保証がないところからしか、生まれてこないのだ。
しみじみいい言葉だと思います。