パン教室は、普通をパンを作ることに集中します。根詰めてやるわけではありませんが、パンを作ること以外のことはやりません。ところがぷかぷかパン教室では、そのあり得ないことが、あり得るのです。
先日のパン教室、ふと気がつくと、調理室のコーナーで「人間知恵の輪」が始まっていました。手を結びあい、それをほどいていくゲームです。それに刺激されてか、別のコーナーでも始まりました。更に別のコーナーでも。
みなさん、パン作りに慣れて、仕事がはかどり、余裕が出てきたことはもちろんあります。それでも、その余裕の中で、お茶を飲んだりは十分考えられますが、「人間知恵の輪」は普通あり得ません。でも、突然誰かが、「人間知恵の輪やろう」といいだし、「あ、おもしろそう、やろうやろう」と後に続く人が出て、瞬く間に調理室の三つのコーナーで「人間知恵の輪」が始まったのでした。
そういえば、以前、パン教室のさなかに「詩の朗読」をやったことがありましたね。長田弘さんの「イタリアの女に教えてもらったこと」という詩です。
こんな一節があります。
パンのみにあらずだなんて
うそよ。
パンをおいしく食べることが文化だわ。
まずはパン、それからわたしはかんがえる。
この一節はパン教室にぴったりだと思いました。こういうことを学ぶことこそパン教室の一番大事なところではないかと思ったりするのです。
突然朗読して下さい、とお願いした参加者のお父さんは、かなり面食らっていましたが、それでもふだん詩を朗読するなんてことはまずないので、すばらしくいい体験をしたようでした。
パンを作る経験をするだけでなく、詩の朗読までやった、となると、すごいお得なパン教室です。
というわけで、ぷかぷかパン教室は、あり得ないことがあり得るパン教室なのです。