第二期「みんなでワークショップ」の6回目。ようやく全体を通して稽古するところまで来ました。
オリジナル創作劇「みんなの《生きる》」は「岩手軽便鉄道の一月」の歌から始まります。歌に出てくる「かわやなぎサリクスランダー」とか「さわぐるみジュグランダー」などの木をみんなで表現します。
辻さんのおだやかな表情!ワークショップはこんな表情でいられる場です。
谷川俊太郎の詩「生きる」をみんなで朗読します。長い詩なので、五つのグループに分けて朗読します。朗読が終わると体で形を作ります。安見ちゃんのピアノがすばらしくいいです。デフパペの善岡さんは手話で詩を表現します。
三つの「私たちの《生きる》」の発表です。
グループ詩の朗読がこんな感じで始まります。
グループ詩を元に作った簡単な芝居を発表し、みんなで評価し合います。ワークショップはこういう作業を積み重ねて、少しずつ芝居ができあがっていいます。
この芝居の中では電車の中で車掌が乗客にアイスクリームを配ったりする場面があります。こんなことはふつうはあり得ないのですが、ぷかぷかのメンバーさんと一緒に芝居を作ると、こんな楽しいことが当たり前のように出てきます。実際にこんなことができたら、世界はすっごく楽しくなるだろうなと思うのです。
押し合いへし合いの電車の中、突然車掌が「今日はスペシャルサービスでみなさんにアイスを配ります」とアイスを配り始めたら、なんだかみんなもう笑うしかない、というか、このぎすぎすした社会にあってはこういうとんでもない提案こそが、社会の中でゆるっとした部分、私たちがホッとする部分を作っていくのだと思います。
北海道から駆けつけてくれた森さんとデフパペットシアターの人たちにクジラの頭としっぽを作ってもらいました。だんだんクジラに見えてきました。
潮も吹きます。近所のおじさんことオーヤさんががんばっています。
クジラの楽しい世界の中で「むっつり」が広がり始めます。「むっつり」が広がっていく不気味さをいろんな人の声を拾い集めて編集し、流します。その一つに舞台監督の成沢さんの声を入れます。成沢さんは昔「68/71黒色テント」というラジカルな劇団で役者をやっていました。30年ほど前、障がいのある人たちとの演劇ワークショップの提案を最初に聞いてくれ、今ひとつ納得してない顔でしたが、それでも何度もテントの稽古場まで高崎が話をしに来るので「しょうがねぇなぁ」とかいいながらも、東京の練馬から遠く横浜の瀬谷まできてくれたのが成沢さんと「68/71黒色テント」の仲間達でした。ワークショップの初日に、障がいのある人たちと一緒にワークショップをすることの意味を納得。その続きで今日のワークショップがあります。この人の動きがなければ、今の「みんなでワークショップ」はありませんでした。その成沢さんの声を録音しました。
「もっとねちっこく」とか、「もっと気色悪く」とかいろいろ注文をつけていると「高崎さんやってみたら」と演出の花崎さんにいわれ、突然声の役者をやることに。
久しぶりに気合いを入れて声を出したらものすごくすっきりしました。芝居って楽しいなとしみじみ思いました。
これは「むっつり」に感染しない人たちが現れて、「むっつり」がへなへなとしぼんでいくところの台詞ですが、「むっつり」が肥大していく時の台詞は結構怖いものがあります。
「フフフ、すっかりむっつり大王の天下だ。総がかりで金儲けだ。一番儲かるのは戦争だ。もっともっとむっつり、不機嫌、不満、不安をあおって、、、フフフ」
憲法改正するんだと最近やたら息巻いているアベになった気分でした。
午後の通し稽古で私が気合いを入れて読んだら「ひゃ〜、怖い〜」という声がいくつか上がりました。
稽古のあとの感想を言い合うところでは
「高崎さんて、負のオーラが充満してるんじゃないですか」
なんて言った方がいましたが、そうかも知れないと思いました。
「むっつり」に感染しない人たちの一人に紺野さんが登場します。紺野さんはサザエさんの話をし、波平さんに一緒にお風呂に入ろうよ、と迫ります。即興でこの場面を作り、迫られた近所のおじさんことオーヤさんはどう答えていいかわからず、困っていました。
「むっつり」に感染しない人たちに救われた人たちは、こんなに楽しそうに踊ります。これがワークショップで作り上げた場です。障がいがあるとかないとかを超えた、希望のある未来を作っていく関係がここにはあります。
ワークショップはあと一回。どんな芝居に仕上がるか、楽しみにしていてください。
2月14日(日) 「表現の市場」の中で発表します。