ワークショップの進行役をやっている花崎さん、クジラの人形を作ってくれている森さんと打ち合わせしました。森さんは北海道から今回の人形作りのために来てくれた人形師です。人形を作る人であり、人形を使い、演ずる人であり、人形を使った舞台を作る人です。
今回ワークショップで作った芝居には「みんなの《生きる》」のポジティブな面の象徴として楽しく泳ぎ回るクジラが登場します。
ぷかぷかのメンバーさん、地域の人たちがいっしょに描いた大きなクジラの絵にはみんなの楽しさがぎっしり詰まっていて、それが絵から飛び出したという設定です。
そのクジラの頭を森さんがデザインし、デフパペットシアターの人たちが作業場で作ってくれました。
これも森さんの発案なのですが、何に使うかは当日まで内緒です。とても自由度の高い素材で、イメージが自由にふくらみます。
ワークショップでは全員がクジラになって泳ぎ回ったりしましたが、舞台は神奈川県で一番といわれる大きなグランドピアノがかなりの場所を占めるため、みんなでクジラをやるのはかなりむつかしいかなと思っています。
前回のワークショップでは、こんな感じになって、なんだかデモをやっているようでした。これをどうやってクジラに見せるかが、腕の見せ所。あと2回のワークショップの中でみんなで考えます。
クジラをやっている途中で、突然一人ひとりの中のネガティブな部分がうごめきだし、瞬く間に広がっていきます。ネガティブがどんどん、どんどん肥大化し、頂点まで達したとき、仮面をかぶった全員が、ババ〜ン!と振り向きます。オペラ『飢餓陣営』のバナナン大将の歌を歌いながら観客に迫ります。
打ち合わせしながらも怖いなと思ったのは、このネガティブな部分が集まって肥大化するとコントロールできなくなり、暴走し始める、ということです。ナチスドイツがそうでした。ヨーロッパの歴史に詳しい花崎さんによると、最初の頃はヒットラーが人々の不満を利用しようとしたらしい(人々の側からいうと、むっつりにつけ込まれた)のですが、人々のネガティブな部分が肥大化し、暴走を始めるともうコントロールできなくなったというのです。
「一億総活躍社会」などという威勢のいい、それでいて空疎な言葉に、それでも多くの人たちがそれについていこうとしている状況は、このネガティブな部分の肥大化が始まり、暴走が始まっているのではないか、とすら思ったりするのです。
芝居ではネガティブ(むっつり)に感染しないぷかぷかのメンバーさんが登場し、
彼らこそがこの暴走(息苦しい社会)を止めるんじゃないか、という思いを、その場面ではこめているのですが、それがどこまで伝えられるか、発表会まであと二回のワークショップが勝負です。
できあがった芝居は2月14日(日)表現の市場で発表します。
大きなチラシ
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