ぷかぷかのプロモーションビデオを制作するプロジェクトチームはプロの映像スキルを持った人たちが、私の映像制作の企画に賛同し、ボランティアで参加してくれています。そのプロジェクトチームのプロデューサー、カメラマン、コピーライターの方が見え、プロモーションビデオ(PV)の基本的な方向性についての説明がありました。
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「目的」
ぷかぷかPV制作の目的は
ぷかぷかのメンバーさんの魅力を映像のチカラ(なぜかここはカタカナになっていました)で描き、伝えること。
そして見た人が「彼らと一緒に生きてゆきたい」と自然に思えること。
「方法」
発想が豊か、絵が上手、心が優しい、行動がピュアなど。
多岐に亘る彼らの個性、魅力を描くには、素のままの彼らに迫るドキュメンタリーがよいと考えます。
彼らを主役にして、ありのままの彼らの魅力を描くことを一番大切にしたい。
「イメージ」
横浜の郊外にあるパン屋「ぷかぷか」。
ここには自由な人たちがいます。
レジの横でユニークな接客をするツジさん、
はにかみながら袋詰めをするカネマルさん、
お客さんを質問攻めにするコンノさん。
みんな電車やバスを乗り継ぎ、ここに毎日通っています。
やりがいを感じながら、悩みながら、傷つきながら。
障害のある人とそうでない人が、一緒に楽しく働いています。
パン屋の隣にはお総菜屋さん。
更に隣にはアートショップ。近くにはカフェもあります。
小さな子どもから学生、パパ、ママ、働き盛り、お年寄りまで、
ここに来ると元気になれる。みんな自然に笑顔になれる。
彼らと一緒に生きることは
こんなにも自分を自由にしてくれる。
「障がいを持つ人たちの独特の魅力に気づいた」
「彼らに会いたくてお店に通っている」というファンが、
この街にはどんどん増えています。
一緒に生きていった方が楽しいよ。
NPO法人ぷかぷか
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これを元に1月にはビデオ制作の「絵コンテ」を描いて持ってくるそうです。
何か意見はありませんか、と聞かれ、こんな映像を創りたいという思いにふれただけで私はうれしくて、「いや〜、すばらしいです」と正直に言ったところ、この場ではもっと文句を言って下さい、といわれてしまいました。プロジェクトチームの人たちはぷかぷかのメンバーさんとおつきあいを始めてそれほど時間がたっていないのに、ぷかぷかへの思いが、渡された文書にはあふれている気がしたので、もうこのままでいい気がしたのです。
それでも、ここで文句を言っておかないと、このまま進んでしまいますから、ちょっとでも違和感があれば言って下さい、といわれ、最後にあった「一緒に生きていった方が楽しいよ」の「楽しい」は「得」にして下さい、といいました。
彼らと一緒に生きることは、人生にとって「得」だと思っています。この「得」には、「楽しい」ということもありますが、それよりも、もっと広くて、深い意味があります。人生が豊かになるということ。それはとりもなおさず社会全体が豊かになるということです。そういうことであっても、あえて「得」と軽く語ることで、ともすれば重くなりがちな彼らとの関係を、「共に生きよう」とかではなくて、誰でも気楽にできるおつきあいにしたいと思うのです。
ただ「得」という言葉は時として誤解も招くので、ふだんは
「一緒に生きていった方が《いいよ》」という言葉にしています。
いずれにしてもそういった思いが、映像を通してなんとなく伝わればいいかなと思っています。
映像は見る人の心をほっこりあたたかくします。そのあたたかさの中で、彼らのそばにいたいな、ってちょっとでも思ってもらえれば、と思うのです。そしてこのあたたかさを感じられる社会こそが豊かなんだってことを。
来年3月末完成予定です。4月にはIMAGIKA五反田でおこなわれる映像フェスティバルで発表されます。Youtubeにもアップします。
昨年の映像フェスティバルの案内には
《私たちPVプロボノは、2013年から社会貢献活動に興味のあるプロの映像クリエイターと、社会課題を解決するために活動されている方々とをつなぎ、2年間で23本の映像制作の機会を創出してきました。今回の上映イベントでは、クリエイターがNPOなどの取り組みを知り、共感し、深く考えることで生み出された映像コンテンツをご紹介いたします。また、制作過程でのストーリーを共有し、これからの新しい映像コミュニケーションについて皆さまとともに考えていく機会を提供したいと思います。
[ 開催の目的 ]
普段では見ることのできない大スクリーンで完成作品8本を上映いたします。開催会場となるのは映画業界の聖地* イマジカ五反田本館の第1試写室 *。宮崎駿監督が引退を決意した映画の試写室として話題にもなりました。映像の上映、制作にまつわる秘話をトークセッション。ゲストクリエイターを交えて、ソーシャルにな分野へ映像の果たす役割とその可能性について考えていきます。》
とあって、なかなかおもしろそうです。詳細が決まりましたら、またお知らせします。
ワークショップの取材に来たカメラマン二人。発表会の時は、赤シャツの方が肩に取り付けている小型カメラを額につけて舞台に上がり、迫力ある舞台の映像を撮りたいとプロデューサーの中島さん(右側の人)は張り切っています。