おひさまの台所のレジ担当のスタッフと話をしたとき、利用者さんといっしょにお店に立つと、お客さんの笑顔が違うんですよ、という話を聞きました。それを伝えるのがこの写真。スタッフが同じように品物を渡しても、多分笑顔の質が違うんじゃないかと思います。これはなんなんだろうな、と思うのです。
やはり彼らに手渡されると、ただそれだけでうれしいし、心癒やされるものがあるように思います。相手がスタッフだと、お礼は言うにしても、なかなかそこまでの気持ちにはなれません。
写真のミズキさんは作業的なことはちょっと苦手です。接客もそれほどスムーズにやってるわけではありません。どちらかといえばぎこちなくやっています。でも、そのぎこちなさが、お客さんの心を優しくするのかも知れません。
ミズキさんはいつも一生懸命です。一生懸命さが全身からあふれ出ます。それをお客さんは感じるのだと思います。だからこんなすてきな笑顔が出てくるんだと思います。
ミズキさんは「おひさまの台所」の店頭に立って、お客さんたちの数え切れないくらいの笑顔を作って来ました。そうやって街を耕してきたのだと思います。
ミヒャエルエンデの「モモ」という作品に「笑顔ドロボー」が出てきます。街の人たちから笑顔を盗むドロボーです。ドロボーたちが暗躍する中で、街がどんどん暗くなっていきます。
ミズキさんはこの笑顔ドロボーの逆をやっています。彼が店頭で仕事をするとお客さんの笑顔が増えます。笑顔が増えることは、街が明るくなることです。
ミズキさんはぎこちなく仕事をしながら、実は誰にもできない大変な仕事をやっているのだと思います。