アメリカのボーイング社が「教育、健康福祉、環境、市民活動」に関して助成金を募集していたので、ワークショップの費用を助成してもらおうと申請書作成に取りかかりました。
申請書に書く項目として「社会のニーズにどのように貢献できるのか」というのがありました。今まで「解決すべき社会的課題」というのは、どの申請書にもありましたが、「社会のニーズ」という言葉は申請書としては初めて見ました。
要するに「社会が求めている」ということだと思うのですが、ワークショップを社会が求めているかというと、どうもそういう感じではありません。ではどこに「社会のニーズ」を見つければいいのでしょう。
社会はまだまだ障がいのある人たちといい関係が作りきれず、彼らを社会から締め出してしまっています。それは、ストレートにいえば「あなたにいて欲しくない」「あなたは必要ない」「あなたがいると困る」と言ってることになります。ずいぶん失礼ないい方ですが、社会の中に彼らが堂々と働く場所,居場所がないのは、やはり社会がそんな風に彼らのことを思っているからだと思います。
彼らをそんな風に社会から締め出してしまうのは、社会の大変な損失だと思います。
「ぷかぷか」は彼らがいることで、豊かな広がりを持ったお店になっています。彼らがいるから、いろいろな物語が生まれています。ホームページやFacebookページで毎日のように様々な物語を発信できるのは、彼らのおかげです。彼らのおかげで生まれる楽しい物語は、お店に関わる人たちだけでなく、社会全体を豊かにしています。彼らが生み出す物語は、今までにない「新しい価値」と呼んでもいいくらいだと思います。
彼らがいないと、ただのパン屋で、こんな物語は生まれようもありません。彼らを締め出してしまうのは、ですから社会の大変な損失になります。生まれるはずの新しい価値を,見もしないで捨てているようなものです。もったいないというか、「いっしょに生きなきゃ損!」だと私は思っています。
以前にも書きましたが、ワークショップは彼らに対して「あなたにいて欲しい」「あなたが必要」「あなたがいないと困る」といった関係を自然に作ってきました。社会が作りきれなかった関係を、いとも簡単に作ってしまったのです。
関係を作っただけでなく、その関係の中で何ができるのかを芝居の形で具体的にお客さんの前で発表しました。それは、彼らがいたからこそ創り出すことのできた「新しい価値」を提案できたと言い換えてもいいでしょう。新しい価値は新しい文化と言ってもいいと思います。文化は社会を豊かにします。
https://www.youtube.com/watch?v=xYB810A84eQ
社会の損失を防ぎ、新しい価値を創り出し、社会を豊かにすることは「社会のニーズ」といっていいのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
ぜひご意見お聞かせください。