横浜地域福祉研究センターで新しいセミナーを始めるにあたっての集まりで、重度障害のある子どもを抱えたお母さんの発言に目が覚めるような思いをしたことがあります。養護学校を卒業したあとは、重度心身障害者の施設に入るというのがおきまりのコースですが、
「それじゃあ、人生つまらないじゃないですか」
と発言し、なんかほっぺたをバチ〜ンと張られたくらい感動してしまいました。そのお母さんは、重度の障害を抱えた息子さんといっしょに、なんと「自営業」をやりたいというのです。要するに「商売」です。
私たちは「働ける」「働けない」で人を分けてしまっていますが、そのお母さんはそのカテゴリーを突き抜けたところで息子さんを見ているようでした。だからこそ、その「働けない」といわれている息子と一緒に商売をはじめます、とさらっと言ってのけたのだと思います。
その「志」がすばらしいと思うのです。仲間うちの「お仕事ごっこ」ではなく、自営業をやる、つまり社会の中でちゃんと商売をやろうというのです。
決められたレールの上を行くだけの安全な人生なんて「つまらないじゃないですか」と,蹴っ飛ばし、息子と一緒に「冒険」とも思えるような人生にチャレンジするなんて、もう聞いただけでわくわくしてしまいます。
もちろん超えなければならない難問は山ほどあると思います。でもそれにひるむことなく、「自営業をやります」と人前で言い切る姿がさわやかでした。
お母さんの人生、というより、自分自身の人生をしっかり生きて生きたい、という気持ちをびりびり感じました。
やわな自分の人生を揺すぶられた気がしました。
さあ、商売に出発!