宮沢あけみさんのワークショップの記録映画ができあがり、先日、今年のワークショップの打ち合わせのあと、見ました。
表現の市場で発表した「森は生きている」ぷかぷか版のすばらしい舞台に至るまでの6ヶ月のワークショップを1時間56分にまとめたものです。30時間くらい撮ったそうですが、それをこの時間にまとめるというのは、本当に大変だっただろうと思います。
表現の市場のあの舞台がどうしてできあがったのかが、なんとなくわかる映画ですが、それ以上に宮沢さんのぷかぷかのワークショップへのあふれるような思いを感じるような映画でした。宮沢さんの,ぷかぷかがやっていることへの、やろうとしていることへの思いの深さをあらためて感じました。
言葉がなかなか出てこない人がいても、その出てこない空白の時間を丁寧に撮っていました。その空白にこそ、宮沢さんの伝えたいものがあったように思いました。
障がいのある人とそうでない人、といった分け方が、ほとんど意味をなさない空間がこの映画には記録されています。意識的にそういう分け方はおかしいとかやめよう、といったわけではなく、ワークショップをやっていく中で自然にできた空間、関係です。
宮沢さんはこの映画を「山形国際ドキュメンタリ−映画祭」に出そうとしています。1,800本くらい応募があって、その中から数本選ばれるだけなので、多分だめだろう、といっていましたが、その難関にそれでもトライしてみようとしています。
それにエントリーするために映画のタイトルを考えているそうです。ひょっとして審査員の目にとまり、大ヒットするようなことがあれば、そのタイトルが「障がい者」という言葉に取って代わるかも知れない、と宮沢さんは考えています。
つまり、今回の記録映画は、《 「障がい者」という言葉に取って代わるかも知れない》新しい概念を提案しているのではないか、ということです。
私は「障害者」という言葉がどうも好きになれなくて、「障がいのある人」という言い方をしていますが、「障」の字も「差し障る」の意味で、マイナスの意味しかありません。
宮沢さんは、そんな文字だけちょこっといじくるようなちまちました世界ではなく、もっと大胆に新しい概念、言葉を提案しようとしているのだと思いました。
そういう観点からこの映画を振り返ると、先に書いた「障がいのある人とそうでない人、といった分け方が、ほとんど意味をなさない空間がこの映画には記録されています。」という言葉が出てくるのです。
ワークショップで作ってきた空間、関係は、「障害者」という言葉までもひっくり返すような、すごいラディカルな提案をやってたんだと宮沢さんに教えられた気がしています。
宮沢さんの映画のDVDが2月下旬完成します。disc1とdisc2の2枚組です。disc1は表現の市場で発表された本番の舞台、disc2はそれに至るまでのワークショップの記録です。3,000円で販売します。購入希望の方はぷかぷかまで。pukapuka@ked.biglobe.ne.jp