ぷかぷか日記

ほれぼれするほどいい顔をして

 ケンタロウくんのことを日記に書いたら、昔いっしょに「あそぼう会」をやった地域の仲間サキさんが連絡をくれました。いっしょに「あそぼう会」やった仲間に知らせるので、連絡先を教えて欲しいということでした。

 30年ほど前、ケンタロウくんの担任をしていた私は、こんなすてきな子どもたちを養護学校に閉じ込めておくのは「もったいない」と、せっせと公園に連れ出し、いろんな人たちといっしょにあそんでいました。そこへ参加したのがサキさんであり、何人かの地域の友人たちでした。

 ケンタロウくんたちのことをいっぺんに好きになり、ほんとうによくあそびました。このときできた仲間で「みちことオーサ」の上映会をやったり、うどん屋をやったり、ワークショップをやったりで、ずいぶん活動の幅が広がりました。

 活動の幅が広がる中で、障がいのある人たちを取り巻く社会的な問題について、ほんとうにたくさんのことを学んだ気がしています。下手すると堅い話になりがちなこの手の話題であっても、ケンタロウくんたちといっしょの「あそぼう会」は、なぜか楽しく語れました。ケンタロウくんの「ひゃ〜」っていう、みんなを幸せな気持ちにさせる笑い声がみんなをつないでいたからだと思います。

 そのときのつながりがまだ生きていたというわけです。

 日記に書いた次の日に、葬儀場までケンタロウくんに会いに行きました。きりっと引き締まったいい男の顔でした。

 そばにいたお母さんに

「ケンタロウって、こんなにいい男だったんだね」っていうと

「そうなのよ」とうれしそうに言ってましたが、このいい男が作ったつながりが、今も生きているんだから、すごいのひとことです。私はといえば、君と出会ったおかげで、その後の人生がほんとうに楽しいものになったんだよ、それまでと全く違う毎日が始まって、ほんとうに楽しかったよ、と、またケンタロウに感謝したのでした。

 42歳、ほれぼれするほどいい顔をしていました。

 

  

 

 

 

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