ぷかぷか日記

しんごっちの財産

 しんごっちの告別式がありました。お通夜も、告別式も、びっくりするほどの人が参列し、しんごっちの作ってきたつながりの広さを思いました。

 日曜日に息を引き取って以来、毎日しんごっちに会いに行っていたのですが、たまたま居合わせた近所の床屋さんのしんごっちの思い出話を聞きながら、近所でもいいおつきあいを作っていたんだなぁ、と思いました。あのすばらしい笑顔と、誰にでも愛される人柄の故だろうと思います。

 昔、担任していたなおちゃんが事故で亡くなったときのことです。なおちゃんは多動で、しょっちゅう家や学校から飛び出して、毎日のように探し回っていました。家のドアには鍵が三つくらいついていて、ベランダには物を投げても大丈夫なようにネットが張ってありました。テレビも投げたことがあったとお母さんが嘆いていました。家の近くのスーパーにも勝手に入り込んでずいぶんいたずらしていたようで、要注意人物でした。しんごっちとは正反対の人柄だったようです。ところが、なおちゃんが亡くなったとき、そのスーパーの女性店員が大泣きしたと、あとで聞きました。毎日のようにいたずらに手を焼いていたんだろうと思います。売り物を壊したりして、損害もかなりあったんだろうと思います。そんなに迷惑をかけながらも、それでもなおちゃんが亡くなったとき、女性店員は大泣きしたというのです。

 たぶん、しんごっちとは全く違う方法で人とつながりを作っていたのだろうと思います。つながりはそのままその人の財産です。昨日、今日としんごっちのすばらしい財産を見た気がしました。その財産があったからこそ、病院での治療をやめたあと、すばらしくいい時間を過ごせたのだと思います。いい時間を支える仲間がたくさんいて、しんごっちは本当に幸せだったと思います。 

 

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