入院中のしんごっち、自宅での外泊から病院に帰るとき、自分で使っていたスケッチブックをカバンに詰め、大好きな看護師さんに絵を描いてあげるんだー!と張り切って病院へ戻ったそうです。
胸をわくわくさせながらスケッチブックを鞄に詰め込んでいるしんごっちの姿が目に浮かびます。そんな時間が少しでも長く取れるといいなと思っています。
前にも書きましたが、しんごっちは給料が出ると横浜川崎間のひと駅だけのグリーン車の旅を楽しんでいました。ひと駅だけ乗るのにわざわざ高いグリーン車に乗る人はまずいません。わずか8分の乗車時間ですから、立ったままでも十分行ける距離です。座ったとしても、ゆったりくつろぐような時間はありません。それでも、そこに750円のグリーン車の代金を払って乗るところに、しんごっちの「人生観」「美学」があるように思うのです。
横浜から博多までのグリーン車の旅よりも、短い分、もっと濃縮された、わくわくするような贅沢な時間がそこにはあるような気がします。8分間の胸のときめきこそ大事にしたい、というしんごっちの素敵な人生がそこにはあります。
しんごっちは重い障がいを抱えた人です。生きていく上でいろいろな困難を抱えた人です。それでもそんなことお構いなく、自分の人生をしっかり生きているしんごっちは、生きることの意味をあらためて教えてくれているように思うのです。
グリーン車で自撮りしたもの
テーブルの上には慎ましくお茶とおにぎり