ケンちゃんは太っています。90キロを少し超えているかも知れません。マックが大好きで、しょっちゅうマックへ立ち寄って、テリヤキバーガーなど食べたりしています。
あんまり太ると健康に良くないので、下のまぶたの裏側を見て、
「あ、赤くなっていますねぇ、これは糖尿病の初期症状です。糖尿病になると、足が腐ってぼろっと落ちたりします。これはマックが原因です。健康のためにマックはやめた方がいいです」
と、4年前、まだ養護学校の生徒の頃(私が担任をしていました)、まぶたのチェックをやったことが気に入ったのかどうか、今でも毎日のようにまぶたの裏をめくって見せ、
「これは糖尿病ですか?」
と嬉しそうに聞いてきます。(卒業後は他の作業所で働いていましたが、2年前、ぷかぷかにやってきました。)
「ああ、これはまずい!相当進んでいます。この調子で進行すると、朝、おしっこしたはずみに、大事なところが腐ってぼろっと落ちるかも知れません」
「え?大事なところがぼろっと落ちると、女の子になるんですか?」
「そうです。ケンちゃんは女の子になってしまいます」
「スカートはくんですか?」
「そうです」
「ウエディングドレスですか?」
「そうです」
「ウエディングドレスというのはこれですか?」
とスマホの画面をうれしそうに見せてくれたりします。糖尿病になるからマックはやめた方がいい、といったつもりが、全く違う方向へ話が発展していまいました。