養護学校の卒業生がこの10年で2倍になったという新聞記事を見ました。そんなに増えたら、卒業生の行き場がなくなってしまいます。
県立の養護学校では生徒数の減った県立高校の空き教室を養護学校の分教室として使い、なんとか生徒の増加をしのいでいますが、卒業後の行き場については、そんなに簡単にはいきません。
卒業生の約7割は福祉事業所が引き受けていて、おそらくどこも満杯状態だろうと思います。行政がこの問題を解決するためにお金を出した、という話も聞きません。
そういった中でのぷかぷかの開設でしたが、街の中に彼らの働くパン屋を作ることは「一石三鳥」の意味があったと今思っています。
一つは彼らの働く場が、わずか10人ではあったのですが(今は20人)、とにかく一つできたこと。もう一つは、彼らと街の人たちがパン屋で出会い、街の人たちが少しずつ変わってきたこと。言い換えれば彼らを受け入れることで、彼らの社会的生きにくさが、ほんの少しですが解消する方向に動いた、ということ。三つ目は、そういう方向に街が変わっていくことで、お互いが、ほんの少しですが、生きやすい街に変わっていった、ということです。
街の中の一軒のパン屋は三つの新しい物語を作ったことになります。まだまだ物語は始まったばかりですが…