ぷかぷか日記

映画「ぷかぷか」

10月23日
 映画「ぷかぷか」の試写会。「ぷかぷか」の設立前から1年半ほどを追いかけたドキュメンタリー。経営的に本当に苦しい時期もあって、それがそのまま映像になっていて、あの頃のつらい思いがあらためてよみがえった。あの時、カメラの前で何かしゃべろうとしても言葉が出てこなかった。カメラを回している河原さんも、あの苦しい状況を超えるような言葉を期待していたんだろうと思う。私もそれを必死で探しながらも、あの時はどうしていいのかわからず、ただただ深いため息が出てくるばかりだった。カメラの視線がとても辛かったことを覚えている。それがそのまま映像になっていた。
 その沈黙のシーンの前に、思いを共有できなかったスタッフをぼやく場面があり、そこはカットしたほうがいいのではないか、という意見も出た。経営者としてはほんとはいうべきではない、という意見もあった。
 でも、あの苦しい時があったからこそ、今のぷかぷかがある。「夢」を実現するには、当たり前の話だが、楽しいことばかりではない。いろんな浮き沈みがあってこそ、みんなが鍛えられ、そのなかで「夢」が少しずつ実現していくのだと思う。そういう意味で、あのシーンは「ぷかぷか」にとってとても大切なシーンだと思う。
 とてもみっともない、恥ずかしい場面だが、それはそれでぷかぷからしいと思う。

 苦しくてもつらくても、明日のパンを作るために、利用者さんの明日の仕事を作るために、とにかく動いていくしかないところが、本当にきつかったが、そういう中でしっかり支えてくれる人もいて、なんとかやって来れた。何よりもそんなことはお構いなく、しっかり働き続け、「ぷかぷか」をしっかり支えてくれた利用者さんたちに、あらためて感謝したいと思う。
 映画の中で彼らは本当によく働いている。そして働いていく中で、大きく変わった。それが映像を見ているとよくわかる。彼らだけでなく、彼らを映像として追いかけてきた河原さんも変わった。カメラの向け方が最初の頃とずいぶん変わっている。
 河原さんをぷかぷかの映像作りに夢中にさせたものは何だったんだろうとあらためて思う。

 試写会の後、参加者の一人から「素敵な夢をプレゼントされた気がいたします。」といったメールが来た。そういったものが映画「ぷかぷか」にはあるのだろう。私には辛かったときのシーンだけが印象に残っているのだが、見た人に夢をプレゼントできるなら、こんなすばらしいことはないと思う。最後のシーンで外販を終えて帰って行く利用者さんの後ろ姿に私はちょっと涙が出そうになった。ぷかぷかが始まる前のパン教室での姿と、外販を終えて帰って行く自信に満ちた後ろ姿。ぷかぷかを初めて1年半の意味がその後ろ姿に凝縮されていると思った。

 映画は若干の手直しを入れて、今年の末には完成予定です。またお知らせを載せますので楽しみにしていてください。

 
 

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