ぷかぷか日記

福祉施設の発想

  NPO法人の予算書についていろいろアドバイスをもらうついでにパンの研修をやってきた。 ハード系のおいしいパンを焼いているお店で、いちばん見本にしたいカフェベーカリーなのだが、人通りの少ない場所にあることもあって、お客さんがさっぱりこない。その日は私を含めてたったの二人だという。せっかくのおいしいパンがほとんど売れ残っていた。

 こんなにおいしいパンが売れないなんて、もったいない話だと思ったのだが、思ったのは僕だけで、メンバーさんもスタッフも、お客が来ないことや、パンが売れ残ることに慣れっこになっているのか、さして気にしている風でもない。

 売れ残ったパンは次の日少し割引して売ったり、それでも残った場合はラスクにするそうだが、そんなことよりもお客がたった二人というのはハンディのある人たち10人ほどとスタッフ5人が働くお店にとっては「商売が成り立ってない」ということであって、どうしてそのことに気がつかないのだろうと思う。

 ふだんお店で売れるのはせいぜい6000円くらいらしいが、15人で働いて6000円しか稼げないというのはどう考えてもおかしい。あれだけおいしいパンを作っているのだから、その気になればもっともっと売り上げがあってもおかしくない。でも、そこを何とかしようという意気込みは感じられない。

 以前来たときはメンバーさんそれぞれのペースと大事にしていてとてもいい雰囲気だと思ったのだが、今日はこの緊張感のなさってやっぱりまずいんじゃないかと思った。普通のお店であればこの程度の売り上げではすぐにでもつぶれてしまうだろう。それなのにつぶれもせず、何となく運営できてしまうのは行政から運営費の補助をもらっているからだ。それがないと運営が成り立たないというのはわかるとしても、そこによりかかりすぎると、商売をやっているという「緊張感」がなくなり、せっかくみんなでおいしいパンを作りながら、それを売り切る力もどこかへ行ってしまうようだ。これはやっぱりまずいと思う。「仕事」をやっている意味がどこかへ行ってしまうし、おいしいパンに対しても失礼だと思う。

 お付き合いのある作業所でもせっかくいい場所で喫茶店を開きながらもやっぱり1日のお客さんはひとけた。それを笑って済ませてしまうところにこういう福祉施設の限界というか、大いなる問題があるように思う。「商売として成り立ってない」ということにどうして気がつかないんだろう。

 売り上げだけではない。たまたま知り合いがその喫茶店を訪ねたのだが、どこかの駅の待合室かと思った、と言っていた。ゆっくりお茶を飲む喫茶店としてお店を出しているにも関わらず、駅の待合室と間違えられるようでは話にならない。お客さんに対する姿勢がよく見える。

カフェベーカリーぷかぷかは、助成金をもらいながらの運営になるにしても「商売「をやっているという緊張感は持ち続けたいと思う。予算書ではあえて一日の売り上げを7万円にした。かなりきついと思うのだが、それを目標に頑張りたいと思う。

 
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